演劇企画集団THE・ガジラ


概要
鐘下辰男

構成員
主な作家
鐘下辰男
主な演出家
鐘下辰男
主な役者
千葉哲也
文月遊
末次浩一
壇臣幸
主なスタッフ
劇団の公式ホームページ
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/gajira.html

過去の公演

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・京都 (90.8)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・京都」8月9日
7時半〜9時25分 前2000円、当2200円(指定席あり200円高)
新宿・シアタートップス(03−350−9696) 14日まで
作・演出/鐘下辰男 出演/光岡湧太郎、千葉哲也、文月遊、壇臣幸、他

MODEの時、隣に座った50過ぎのおぢさんがイイって言ってた「ザ・ガ
ジラ」、見ました。もろ「つか」でやんの。ボリュームの上げ下げ、明かり
の変化、選曲、スネークイン、長ゼリの入れ方、ことば使い・・・つかファ
ンにはたまらなく楽しい。どーして俺らの世代って、セーリングとホテルカ
リフォルニアなんだろうなあ。家帰って、柳ジョージ聞きながら焼酎しちゃ
ったぜ。話しは、幕末、人斬り屋の若者達の青春とでも・・・。ホンも役者
も若いけど、演出とイキの良さで、あたしゃ楽しかったよ。オススメできる。

見終わって「昨日の少年王者館といい、今日のガジラといい、ヒット。嬉し
いぜ。唯一の女優、文月遊がイイぞ。」



汚れっちまった悲しみに (90.12)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ Vol.10 「汚れっちまった悲しみに・・・」12月9日(初日)7時
(2:00') 新宿/シアタートップス 前指2200円、前自2000円 12/9〜16
作・演出/鐘下辰男 03-795-2139 客170(男女=3:7)

前回も幕末の若者群像でしたが、今回も中原中也と小林秀雄、富永太郎らの
詩人たちの青春と恋。熱い男達のドラマだ。さほどホンがいいわけじゃない。
道具もシンプル。しかし役者のテンションだけで、芝居をやり倒している。
それ、好きです。なんだか知らないけどかんどーしちまうよ。

前回は、脇にすぎなかったけど光ってた女優文月遊が、並居る男優陣を相手
に輝いていた。そりゃもうカッコイイぜ。それだけに小林秀雄役の千葉哲也
が今日はテンション低かった。初日に燃えないでどーすんだか。頼むよお。

それでもなんでも、あたしゃガジラを応援します。いつもチラシのセンスに
疑問がありますし、ホンがナニですが、「燃える」ことが恥ずかしい時代に
あえて「熱い男達」を無心に描くことを試みることに共感します、はい。

見終わって「でも、“悲しみ”の上に“汚れちまった”なんて修飾語のせる
中原中也って、そりゃあズタズタな青春だったんだろなあ。」



曽根崎心中 (91.4)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE ガジラ「曽根崎心中(原作/近松門左衛門)」4月14日7時(1:52')
新宿/シアタートップス 前2000円 当2200円 4/12〜19(10ステ)
脚本・構成・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客160(95%)

近松の曽根崎心中です。遊女お初に惚れた醤油屋の手代徳兵衛が、店の娘
との縁談を断る。お初を身受けしようという商家の与平衛と、徳兵衛の親
友で同じくお初に惚れる九平次の策略で、借金を返せなくなった徳兵衛が、
店の地位もお初も失う瀬戸際、二人の心中でカッコ良く見返す。

文月遊が、いいぞお。今日はちょっとテンション低かったけど、でもやっぱ
いい。汗みどろになって、生死の境目で芝居する野郎どもを相手に、一歩も
引かずに食いかかっていく。むしろ、男優達のクサイ芝居(それはそれです
ごい迫力だけど)を軽くいなして、かっこいい。女優イチオシ変わらずだ。

今回は演出はずした。時代物を続け過ぎたなあ。爆風スランプもスタンドマ
イクも疑問。宇崎竜童は別の意味あるのに。カラオケやるほど歌うまくない。
どうも、どんどん芝居が重くなる一方で、軽みが入れられなくなった。揺さ
ぶらないとしんどいはず。一本調子が続き過ぎるぞ。選曲も工夫してよ。

見終わって「にしても、文月遊さんをもっと生かす方法があるはず、という
のは贔屓です。ガジラの変貌に期待するなあ。」



tatsuya (91.8)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「tatsuya」8月15日7時半(1:50')
新宿/シアタートップス 自2300円 指2500円 8/14〜22(11ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客140(9割)

87/10結成。最近月刊テアトロが注目してる。一昨年のパルテノン多摩優勝。

理想の男性の第一条件が「清潔感」てぇ時代に、こんだけ汗臭くって大雑把で
殴る蹴るぶっとばすやってる芝居もねーもんだ。そーゆーばかばかしい程の男
のダンディズムをあたしゃ全面的に支持します。大好きです。死ぬまでつっぱ
らかって下さい、だ。

今回も思いっきし暗い話しです。幼くして捨てられた4人兄弟のどぢな末弟の
話し。集団就職で上京し、都会に翻弄され、生き詰まり、銃を盗み、連続射殺
事件を起こし、死刑判決を受けるまでの、すくいよーのない物語。一緒に上京
した兄弟や、友達であるエロ写真家、東京で知り合った最愛の女性(文月遊は、
やっぱりたまらんぞ)がからんでヘビーにこんちくしょーに攻めやがる。ホン
も演出も穴だらけだけど、役者で納得させるもんなあ。

鐘下さんのパターンで足りないのは、つかさんみたいに、どうでもいいような
個人的なネタで盛り上げる逆説性だ。鐘下さんは幕末とか戦争とか芸術家とか
犯罪者とか、もともと盛り上がってるネタだもの。にしても、年3本新作をや
り続けるのは大変だ。制作はボチボチ頭使わないとさ・・・。

見終わって「トップス止りじゃないはずなのに、つっぱってっからなあ・・・。」



1980年のブルースハープ (91.12)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「1980年のブルースハープ」12月12日7時半(1:50')
新宿/シアタートップス 指2500円 自2300円 12/11〜19(11ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客120(8割)

87年結成。年3回のトップスでの公演を続けている。今回は山の手事情社の渡辺
朋子が参加。この子、女だてらにつか芝居してて、あたしゃ大受け。

時代錯誤なんだよなあガジラは。テーマは毎度おなじみの「あの頃は燃えたぜ」
だし、裏にあるのが「ちゃらちゃらしてられっかよ」だ。「アキラが死んだ」か
ら始まる、またしてもヘビーな話し。あんましなんで、小丸さん笑う。

10年前、高校生だった俺ら。熱く激しくセーシュンしてた。ヤツらと一緒にセ
ンコーにぶったたかれていた。ヤニって、ラリって、ブーたれて。あれから10
年だ・・・。もう戻れない。みんな変わった。大人になった。俺はやだね。あん頃、
みんなかっこ良かったぢゃん。俺なんかイモだったもん。勝負できんかったもん。
ヤス子に何も言えんかったもん。アキラに何も言えんかったもん。もう遅い・・・。

この浮ついた時代に、チャラチャラの12月に、なしてそこまでヘビーなの。泣
くのワメくの殴り合うの。それって・・・かっこいいぢゃん。僕は大好きだよ。

今回は難しいです。有名進学校生の、歯の浮くような会話、難解な観念的な言葉
を使って見たい年頃を演じてるけど、実際、歯が浮くし、上滑りです。意図はわ
かるけど、セリフが咀嚼できてません。でも、抽象的過ぎるけど、いいホンです。

見終わって「今日の文月遊はサイテー。納得いかにゃい。全然テンションがない。
そのシーンだって男優のせいもあるが、必然性が見えない。あんた
が意味を作らんでどーすんの。ちゃんとテンション上げとくよーに。」



ワンス・アポン・ア・タイム・イン・京都III (92.4)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン京都III 錦小路の素浪人」4月7日7時半(1:50')
新宿/シアタートップス 自2300円、指2500円 4/6〜15(12ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客130(9割)

87/10結成。パルテノン多摩フェスやアクトアライブで評価を受け、昨年の月刊テアトロに戯曲が
3作掲載されたらしい(なして戯曲集が出んのだろう)。鐘下の芸術選奨文部大臣
新人賞受賞など一部で注目されている。トップスで年3回公演し続けている。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・京都のシリーズ4作目。小丸は前作(90/8)を
見て、なんて「つか」なんだ、と思った。今回の作品は、「錦小路の素浪人」とサ
ブタイトルを打ち、舞台が幕末であることは同じでも全く違う作品である。幕末と
いう動乱の時代を生きる若者の青春群像を、名もなき浪人達で表現。

相変らずの時代錯誤だ。鐘下の一貫したテーマは、田舎もんの(都会に対する)ウ
ラミと、虚飾の時代の薄っぺらさを暴くことだ。私はかっこいいと思うが・・・。

幕末、倒幕のための資金調達に強盗まがいをやっている浪人集団。新しい社会を作
るという壮大なロマンと、血とウラギリと不信の現実とのギャップに揺れる若者達。
莫大な費用を要する倒幕に対し、はした金のために命のやりとりをしている矛盾。
ギリギリに生きた男達を、役者のパッションと力づくの演出で描く。疲れろっ。

もー、ほんとにいい役者だぜ。よくまあこんだけ目のギラついた役者が揃ってるよ
な。んでも、いいかげん「押し」だけで攻めるのは考えんとさ。もっと、コンプレ
ックスの塊みたいなやつの話しが欲しい。もっと後ろ向きなやつ。ああゆうパッシ
ョン男って、一つ間違えると、「勝手にすれば」になっちゃうもん。そりゃあ役者
は楽しいだろけどさ。「引き技」も欲しいよなあ。(基本はツッパリでよ)

今回も文月遊は死んでた。武家の娘とか文明開花娘とかで一瞬光ったが・・・。使い方
が違うよ。文月遊は、(現実はともかく)お嬢様なんだから。町娘は違うべ。

見終わって「でも、この時代錯誤は応援したいぞ。続けて欲しいしぃ。」



POPCORN NAVY 鹿屋の四人 (92.8)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「POPCORN NAVY 鹿屋の四人」8月24日7時半(1:58')
新宿/シアタートップス 指2500円 自2300円 8/22〜31(13ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客170(満員)

87年結成。幕末や戦時などの激動の時代を背景にした若者群像を一貫して描き続けて
いる。元々はつかこうへいのコピー的芝居だったが、よりストレートに心情を吐露し、
正攻法の演出で、役者芝居に徹している。昨年、鐘下は芸術選奨文部大臣新人賞を受
賞した。今回の作品の戯曲がテアトロの9月号に掲載されている。

太平洋戦争末期の特攻隊という重いテーマを、真正面から捉え、全く逃げずに中央突
破を果たしている。見ごたえのある作品だ。ガジラでは久々に充実していた。「汚れ
っちまった悲しみに」以来の傑作だ。ほんとにかっこいいんだから。

●私が着任した鹿屋の海軍航空隊は、神として崇められる特攻隊なんてもんじゃなか
った。何が神だと言うのだ。酒とインキンが蔓延し、暴力と罵りのみが支配してい
た。残り少ない命を、こんなやつらと生きるなんて。敵艦と砕ける前に、ボロボロ
になってしまいそうだ。大学がなつかしい。もう戻れないのか。

いい女がいた。近所の人らしい。オンナなんて久しぶりだから燃えたぜ。なんて、
いつものようにうまく口がきけなかったけど。もちろん手なんて出せやしない。

今日も雨だ。沖縄では激しい戦闘が続いているらしい。東京は焼け野原だそうだ。
雨が上がったらきっと出撃だ。死ぬ前にもう一度桜が見たい。

また雨だ。あの女の目は何だ。何かを訴えている。わからん。芥川が好きだと。勝
手に死ぬやつなど・・・。雨がやまん。隊長は苛立っている。やなやつだ。

不意打ちだった。味方に多数の死者。一日、死体の処分だった。手足の飛び散った
やつや、内臓の飛び出たやつ。これが戦争だ。よく燃えやがる。早く玉砕したい。

そういうことか。あの女、隊長の写真を持っていた。不憫なやつ。あのクソ隊長が
肌身離さず持っている首飾りもそうなんだな。ちぇっ。でもいい。もうオシマイだ。
明日はとうとう晴れる。脱走したバカも連れ戻されたし、4人揃って、おっちんじ
まうだけだ。いったい、それのどこに意味があるというのだ。ちくしょー、みんな
ぶっころしてやる。

そして彼らは飛び立つわけです。太平洋戦争での特攻隊の目標達成率って16.5%
なんです。勇ましい掛け声の下で、犬死にの実感の中で、ギリギリの命を燃焼させて
いくわけです。相変らず鐘下のセリフは熱いです。「俺は東京大空襲の報を聞いた時、
ざまあみろと思った。」なんて、思わずニヤッとしてしまいました。いいぜ。

暴君隊長に千葉哲也、こわいです。新任の学徒に光岡湧太郎、切れ味良いです。左遷
されたベテラン荒くれパイロットに高田祐司、危ないです。下っぱ臆病兵に水上龍士、
うまくなりました。4人とも、フンドシ姿も勇ましく、つっ走ります。あて書きした
としか思えない絶妙のキャスティングです。そして、恋慕うモンペ女を、小丸入れ込
む文月遊が演じます。見せ場は少ないですが、キッチリ引きつけます。うれぴーっ。

まったくガジラは疲れるぜ。テンション上がりっぱなしですもん。今回はホンも良い
し、よけいな演出や選曲もせんで、ひたすらストレートにセリフの応酬します。こん
な正攻法の芝居で、こんだけ見せられる劇団って、他にあるでしょうか。やたら舞台
の前っつらで、それも両はじに分れての芝居が多いにもかかわらず、桟敷最前列に座
ってしまうのは、やっぱ役者のナマが見たいからですね。MOPの3倍ぐらいかっこ
いいぞ。

見終わって「ラスチャックラフネクスのセンチメンタルなヒロイズムを思いだしてし
まった。くそくらえだ。」



アプレゲール (92.12)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「アプレゲール」12月14日7時半(1:51')
新宿/シアタートップス 自2300円 指2500円 12/11〜20(13ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客160(満員)

87年結成。幕末や戦時などの激動の時代を背景にした若者群像を一貫して描き続けて
いる。元々はつかこうへいのコピー的芝居だったが、よりストレートに心情を吐露し、
正攻法の演出で、役者芝居に徹している。昨年、鐘下は芸術選奨文部大臣新人賞を受
賞した。

今回の舞台は戦後。昭和23年8月、連続婦女殺人犯の世良二良が本庁に護送されてき
たところから始まる。同年1月から7月までに5人の女性を殺した世良を取調べる刑
事たちの物語である。殺人犯とその妻そして刑事たちの姿から、戦後の時代を浮かび
あがらせ、同時に今という時代を問い掛ける。前作以上の力作だ。鐘下のセリフは重
い暗い湿っぽいの3重苦であるが、力づくで泣かせるもんね。まいったぜ。

主演の世良は毎回のように客演している青年座の檀臣幸。新人の婦警に山の手事情社
でも活躍する渡辺朋子。そしていつもの千葉・高田・光岡・白石。今回、久々にいい
芝居を見せている文月遊も健在だ。檀(犯人)と文月(その妻)で、たまりましぇん。

●東大法学部で優秀な成績を誇った世良は、昭和18年に召集を受けるも内地勤務で
終戦を迎えた。終戦から連続殺人で逮捕されるまでの3年間の足取りを追う刑事。
何が彼を殺人鬼に仕立て上げたのか。裕福な家庭に育ち、はたちそこそこで復員
し、横須賀で莫大な仕送りを受けながら妻と平和な暮らしを始めたのにもかかわ
らず、1年で破局。妻の行方が知れなくなってまもなく、連続殺人の最初の奇行
に及んだ理由は?。「生きるのに必死だったから」という理由のもと、国じゅう
が異常な興奮に包まれていた時代に、己の知識と、純粋に誠実な信念の下で生き
ようとしていた青年が陥った闇の中。果たして、彼がいまいるのが闇なのか、そ
れともこの世界が・・・。

そりゃあ確かに戦後の動乱ってのは異常でした。ヤミ市ってのは非合法なわけでしょ。
だけど、人々は生きる上ではまるで当然のように法を犯してきたわけですものね。と
ころでこの現代ってやつですが、誰が何と言おうと異常ですよね。てめーの利益のた
めには法なんて無力ですものね。ささいな逸脱の延長線上に、佐川スキャンダルも皇
民党事件もあるわけです。不都合なアジア女性は殺されるのだそうです、この国で。
この作品は戦後の動乱を描いたものですが、私には現代のように思えましたし、私に
時折生じる「殺意」の行方を、自分なりに恐れてしまいます。そこはそれ、へらへら
して生きようと思ってますけどさ。

結局、ガジラはかっこいいもの。檀が良かったし、文月も泣かせるぜ。どんどん、つ
か的要素を排除して、骨太の役者のぶつかりあいに徹するようになってます。ここの
スタンスは「ちゃらちゃらしてられっかよ」だと思うのですが、それにしては時代錯
誤な程のヘビーな芝居を作ります。かっこいいですよぉ。やっぱ小丸は、キャラメル
ボックスのようなエンタテインメント芝居を楽しむお客より、こーゆーヘビーな芝居
を「疲れる」と知りながらも見に来るお客さんとお友達になりたいと思ってしまいま
す。ガジラの芝居にお客が集まり続け、ガジラがより長く公演できることを願わずに
はおれません。

見終わって「来年からは年2回公演だ。ちょっと残念。でも、ほっとしたりして。」



後藤を待ちながら (93.2)

(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ(番外公演)「後藤を待ちながら・・・ 」2月6日2時(1:15')
パルテノン多摩・小ホール 前2300円 当2500円 2/5〜7(4ステ)
原案・脚本・演出/千葉哲也・光岡湧太郎 0423-75-1414 客200(7割)

「パルテノン多摩小劇場フェスティバル」は今年が6回目。過去5回の優勝劇団の
うち第一回〜第四回の優勝4劇団を集めて「小劇場ウィナーズフェスティバル」が
今回開催された。THE・ガジラ('89)、スタジオライフ('90)、IQ−150('91)、
ミヤギサトシショー('88)と続く(昨年優勝のラスチャックラフネクスはなし)。

ガジラの主力役者である千葉・光岡二人による特別公演。鐘下は構成に回り、二人
の原案・脚本・演出による二人芝居。今日の特別ゲストは渡辺朋子・水上龍士。

●公園のはじっこのホッタテ小屋。男はそこでマボロシの家族とクリスマスを
迎えていた。誰もいない空間に向かって笑いかけ、男にしか見えない家族と
の、だ・ん・ら・ん。

家族惨殺のニュース。拳銃が乱射され、おばあさんと女性、子供の家
族3人が殺された。行方不明の夫が重要参考人として手配されている。

サラリーマン風の男が現われる。手にカバン。顔に血。何かにおびえている
その男と公園の男との交流が始まる。二人の男の奇妙な時間。

通り過ぎた浮浪者が、二人に事件を教える。この辺りは危険である、と。殺
人犯が潜伏しているはずだと。二人に緊張が走る・・・。

二人に争いが起きる。カギがかかっていて開かなかったカバンが突然開く。
中には何もなかった。サラリーマン風の男はただの通りすがりだった。彼は
去っていく。残された男はマボロシの家族に語りかける。その家族の名前こ
そ惨殺された母親と妻と娘の名前。孤独な男の上に粉雪が降り積もる・・・。

つうことで、サラリーマン風の男(光岡)が殺人犯であるかのように引っ張ってお
いて、終盤で実は・・・ってパターンです。それはそれでそこそこですが、それほ
どでもありません。残された男(千葉)の「都会の中の孤独」は伝わりますけど、
そんだけではもの足りません。しかし・・・。

エピローグがうまい。男(千葉)の事情と孤独を見せておいて、光岡の二役でエリ
ートサラリーマンを登場させ、千葉と同じ事情を持つ孤独な男が、電話で家族との
乾いた交流を見せておいて、その直後にオンナに電話して「(甘い声で)これから
行くから」とかわして見せる。普通の男は世渡りのスベを持っているのだ。その男
はうずくまる千葉の横を通り過ぎる時、「ちゃんと働けよっ」と吐き捨てていく。
うまい。物語が一気に広がった。このエピローグがなかったら、つまらんかっただ
ろうからね。やるなあ。

途中で登場した「渡辺・水上」の浮浪者ペア(本日のゲスト)は爆笑もんだった。
遊んでくれた。セリフはいいかげんだし、わけのわからんヒゲをつけてるし(水上)、
千葉・光岡の二人は吹き出してるし・・・。この好きもんどもがぁ〜。

見終わって「それでもね、役者芝居としては弱いです。3倍ぐらいのテンションが
欲しい。ま、4ステじゃあねぇ。」



天国への階段 (93.10)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


10/29(金)7:30-8:30PM くもり 新宿・シアタートップス THE・ガジラ
   「天国への階段」  作・演出:鐘下辰男     満員

 悦楽と罪。きゃ。な、イメージの鮮やかさ。芝居がかりはちと、苦笑。

 二人芝居連続上演。第一弾。ショーマの加藤忠司(現在フリー)、ガジラの
 文月遊 出演。なお、第二弾11/3-7は、「後藤を待ちながら」の再演。
 
 お話し。人目を避けて会う二人。不倫の恋。二人はかつて、同級生だった
 どこにもいけない彼ら。の、隠しおおせたいものとは・・。
 上演一時間。いさぎよい。ぱちぱち。再演を繰り返して欲しい、小品です。

 お話しは聞いた風のサスペンス。演出が、印象に残るお芝居。ラジオの脳
 天気番組が流れる中の、舞台の緊迫の対比。スイッチを入りきりしての
 いらいらの表現。床につき刺さるナイフ。緊迫から、解凍。対立と融和。
 終始、張り詰めた空気のなかでの、急緩が鮮やか。

 特に、冷凍したぶどうを食べる場面。ささやくように語り、口に入れる
 文月遊。うっ。ぞくぞく。たいていの男は、へろへろだね。勝てません。
 果物は、美味=快楽でありながら、侵してはならない罪の定石寓意。
 それも、つかのまの快楽。二人の行く末を象徴するわかりやすく、印象に
 残る表現。

 真剣勝負。体当たりの演技。この本気さは好み。でも。高じると芝居がか
 って、うんざりすることも。このへんは、二律背反かもね。
 とりわけ、ちょい出の鐘下は。むだな演技に思える。好ききらいのわかれる
 ところか。


カストリ・エレジー (94.3)


【概要】
  敗戦後の挫折と混乱の中を、夢を持って生き抜こうとする男達の友情
【ストーリー】
  原作は、スタインベックの『二十日鼠と人間』。
  戦争のショックで白痴になってしまった純朴なゴローと、その原因に
  関して責任を感じている戦友のケン。二人は強い友情で結ばれ、家を
  買って一緒に住むという共通の夢を持っている。
  ゴローが悪気はないのに引き起こしてしまう面倒のため、二人は
  まともな仕事にもつけずにいるが、ケンはゴローを必死にかばい、
  逆境に耐えながら何とか夢を実現しようとする。
  ところが……
【色】
  真摯・硬派・骨太といった言葉がよく似合う。
  敗戦後の挫折し混乱した雰囲気がよく描かれており、それが劇全体に
  リアリティーを与えている。
【ひとこと/ひとりごと】
  背景・人物・事件がくっきりと描き出されたいい芝居でした。
  ラストで夢を語るゴローとケン、とてもせつなかったです。
  原作も読んでみたい気分になりました。
  役者も、白痴のゴロー役の千葉さんをはじめ、皆さんよかったです。

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THE・ガジラ 『カストリ・エレジー』
3/24-4/3 新宿THEATER TOPS 全席指定
4/1(金) 6列目下手より観劇 (客席:満員)
脚本・演出 鐘下辰男
CAST  壇臣幸/千葉哲也/末次浩一/近田和生/近江谷太朗
      文月遊/白石禎/佐藤竜一
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(下の文章の文責:まねきねこさん)


3/27(日)2:00-4:00PM 晴れ 新宿・シアタートップス THE・ガジラ
 「カストリ・エレジー」 脚本・演出:鐘下辰男     満席

 涙、拭きながら観る。悲しい。よわった・・。かわらず、隙のない演出○

 お話し。スタインベック「二十日鼠と人間」をなぞる。
 戦後すぐの東京。橋の下の廃品拾い屋が舞台。(これがTOPSの空間に合って
 巧し。)家を持つことを夢見るケン(壇臣幸)と、うすのろゴロー(千葉哲也)
 ゴローは、ケンの元上官。戦争で気が変になってしまったのだ。そのゴローは
 生来の怪力でトラブルを起こし、ケンの邪魔ばかりして・・。

 夢を持つ者、みな打ち砕かれ、残るのは悲しみだけ・・。悪意はないのに、過ちを
 犯すゴローのイノセンスが哀れ。千葉は、いつもと毛色の違う役を好演。
 ラスト。やくざ黒木の女を、はからず殺してしまったゴロー。追われながらも、
 無邪気に、ウサギを飼う夢をケンに話し。ケンはそんな彼を射殺・・。
 なんて悲しいの。原作の乾いた空しさより、感傷的。ねこはガジラのが好き。

 終始、緊張感のある舞台。本気の演技。役者と音、光の呼応の巧さ。さすがガジラ。
 キャラメル、近江谷は黒木役。最初の出はなんか、空気ゆるむ感じ。ソリ入れて、
 演技はリキ入ってるんだけど。これからかな。


(下の文章の文責:一寸小丸さん)

113/115 MAF02065 一寸小丸 R/THE・ガジラ「カストリエレジー」
(14) 94/04/03 06:30

THE・ガジラ「カストリエレジー」4月1日(金)7時半(2:02')
新宿/シアタートップス 前2800円 当3200円 3/24〜4/3(13ステ)
脚本・演出/鐘下辰男 03-3795-2139 客160(桟敷まで満員)

今年の9月に初の紀伊国屋公演(1週間)が決まっているガジラは、87年結成
の「硬派」「本格派」「力ずく」「時代錯誤」で高い評価を得ている。今回は
スタインベックを元ネタとし、ほとんど原作に忠実にストーリーを追い、んで
もって時代を戦後の荒廃期に置き換えることで、ギリギリの生き様を描きやす
くしている。

●荒れ果てた都会(マチ)に、生かされる野郎ども。ちっぽけな希望と挫折。
(ま、お定まりの青春群像です)

やっぱさ、「文月遊」っちゅうのは、日本一のパンパン役者だねえ。あばずれ
のねーちゃんをやらしたら、右に出るやつぁいないね。「汚れつちまった〜」
で惚れて、「天国への階段」で『こいつとつきあうのはえらいこっちゃ』と思
ったけんど、やっぱかっこいいもんなあ。どーしよーもねえズベ公やらしたら
はまるもんなあ。そんで、弱ったことには、そのズベ度にもかかわらず、堕ち
まくっているのにもかかわらず、そこに希望が見えるんだもんなあ。きったね
え男どもが這いつくばっている中に、同じぐらいずぶずぶにはまった女として
登場しても、美しく光っちゃうんだから。ホホ笑んじゃうんだもの困っちゃうぅ。

今回の芝居、完成度高いです。でも、小丸は物足りなかった。ちゃんとストー
リーがあるし(原作がしっかりしてんだろね)、青年座の檀さん初め、初期の
ガジラのメンバーだったという「帰ってきたゑびす」の末次さんも、もちろん
千葉さんも、みんな頑張ってた。だけどさあ・・・。

ガジラってのは、過去の公演のストーリーを、わし覚えてません。今回みたい
にキッチリしたストーリーって、あったんだろうか。んだけどね、そこにかっ
こいい役者がいて、そのギリギリの存在感で、時代錯誤も甚だしいようなテー
マなのにメチャ感動さすんだ。このケバケバしい時代に、クソ真面目に生き様
を問いかけてんだから。「へらへら笑ってられっかよ」ってね。ほとんど、辟
易しそうなネタなのに、やってくれるんだ、きっちりと。降参しちゃうよ。と
にかく、「かっこよかった」って納得して帰れるの。檀さんとか千葉さんとか
文月さんとか白石さんとか、ほんとにかっこいいんだから。

ところが今回、かつてないほどストーリーをきっちり把握できた。だけど、あ
んまりかっこよくなかった。あの千葉さんなら、ああゆう純朴なキャラなんか
完璧に演じられて当然だもの。この日の檀さんなんか、前半ボロボロで、どう
なるもんかと心配しちゃったもん(後半持ち直したけど)。

そんな地べたを這うような芝居の前半において、突然、正面奥の扉を開けて、
さっそうと登場したオンナこそ文月遊だ。扉を開けるや、一発セリフをかまし、
口にくわえた煙草に、一瞬にしてオイルライターの火を灯す。ほんとにもお、
チョーかっこよかった。この芝居、この一瞬がすべてだったぜよ。「キャー」
ってなもんだった。たまらんかったよぉ。(にしても、みんな煙草芝居がかっ
こよすぎるぜ)

見終わって「だけど文月さん、ちと太ったし、芝居が新劇になってるし、やば
いぞ。その手振りはやめなさい。」



アプレゲール (94.9)

● 質の高い舞台だと思います。檀と文月はむちゃ巧いです。でも、
あまり楽しめませんでした。

● 紀伊國屋ホール、当日券15列目でみたのですが、舞台上の出来
事が遠く見えました。舞台の上でドラマが緊密に盛り上がってい
るのは感じられるのだけれど、それは僕を巻き込みませんでした。

● 「紀伊國屋ホールという新しい劇場との出会いによって、この秋、
ガジラはさらに大きな転換期を迎える事になるだろう」とチラシ
にありますが、僕はTOPSでみたかったです。

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【アプレゲール】 ザ・ガジラ       作・演出/鐘下辰男
  壇臣幸(世良ニ良)文月遊(二良の妻)千葉哲也 納谷真大
  加藤忠可 末次浩一 菊池美紀
1994.9.22-28 紀伊國屋 9.27Tueソワレ O列中央 9割?
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(下の文章の文責:まねきねこさん)


9/24(土)7:00-9:00PM 曇 新宿・紀伊國屋ホール THEガジラ
 「アプレゲール」 作・演出:鐘下辰男     客席7割

 すごい役者に再会する幸福。こんな空席があるなんて、どうかしてる。

 大塚ジェルスの初見で、すげえと思ってから5年。ガジラ、紀伊國屋初公演。
 それも、完成度では一番と思う「アプレゲール」。TOPS('92-12)公演
 以来。檀臣幸、文月遊、千葉哲也は、初演のまま。元ショーマの加藤忠可、
 帰って来たゑびすの末次浩一と、新人(納谷真大、菊池美紀)をいれた再演。

 お話し。終戦直後、7人もの女性を次々絞殺した、世良ニ良。明敏な頭脳を
 もち、裕福な家庭に育った彼の殺人の動機とは・・。
 いまさら言うのもなんだなの見事な構成・展開。こんなに隙がなく、終始、
 緊迫感をもって客を離さない芝居は、そうはない。

 でも、なんといっても役者。芝居の感動って、役者如何なんだってことを、
 再認識させてくれる。檀臣幸、文月遊は、ぎりぎりの身を切るような演技。
 文月は、少女役もいたいけでいいが、やっぱ堕ちた後のずべ公が、出色。
 ラスト、ほんの少しだけど、今回もまいっちゃうねこ。色、香りの良さと
 いうか。・・・うまく書けない。加藤の迫力、千葉、末次の味わいもいい。
 新人じゃ菊池が、役柄(婦人警官)のせいか、表情かたい。でも目の力強さが
 いいな。

 全体、初演時よりきれいな感じ。体臭と体温が感じられないと言うか。
 千葉、末次ら刑事の20年後の再会も、あっさり枯れ過ぎの印象。雨の場の
 惨めさも、そうは感じられない。父親を巡るこの場は重要なのに、ものたん
 ない。幕切れの仕掛けは、面白かったけど。

 後ろの両脇席など、がらがら。アリスのしあわせの会といい、こんないい芝居
 なのにどうして。



(下の文章の文責:一寸小丸さん)


THE・ガジラ「アプレゲール」9月27日(火)7時(2:00')
新宿/紀伊国屋ホール 前3500円 当3700円 9/22〜23(8ステ)
作・演出/鐘下辰男 03-3411-4081 客300(8割)

私も27日に見たんよ。幕開きで音響さんが死んだ。音響さんの冷汗を思って、
私も悲しかった。ま、芝居にゃよくあることです。そーですか、鐘下さんが走っ
てましたか(>平田さま)。ごくろーさまです。

客電が落ち、効果音が「どんどーん」と心拍音みたいに連続して続く。暗闇に響
く。突然、「ピィイーン」って音が鳴って・・・そして何も起こらない。そう
こうするうち、効果音がフェードアウトし・・・長い暗闇が続く。突然、また
「どんどーん」が始まる。そして・・・、フェードアウトした。あらら?。

すぐ思いましたよ。鐘下さんの演出なら、あそこでスピーカーからセリフ(日記
のようなやつとか)が入るはずだ。う〜ん、どんなコトバだったんだろー。惜し
いよなあ・・・と、一緒に見た知人と残念がっておりました。エンディングがナ
レーションだっただけに、その対応としての「コトバ」(があったはず)を知り
たかったもんです。

んと・・・確かにオープニングにつまずきはしましたが、そんなもんふっとばす
芝居です。やっぱガジラはすごいです。「憤り」とか「イライラ」とかが、しっ
かりと伝わってきます。私も当日券のO列(15列目)でしたが、字幕も読めな
い目の悪さで、顔つきが見えない(悲しい)にもかかわらず、彼らの表情を感じ
ることができ、充分堪能できました。今回は文月遊と千葉哲也が良かった。

本作は92年12月が初演。鐘下さんがチラシに書いているけど、小丸も1が
「汚れっちまった悲しみに」で、2が「アプレゲール」だと思っている。92年
のベストテンで、小丸は健康「ソバヤ」、双数姉妹「ハクチカ」に続く3位に選
んでいるし、男優女優の1位を檀・文月にしているんだ。

ストーリーは・・・(92年のRから転載)

●東大法学部で優秀な成績を誇った世良は、昭和18年に召集を受けるも内地勤務で
終戦を迎えた。終戦から連続殺人で逮捕されるまでの3年間の足取りを追う刑事。
何が彼を殺人鬼に仕立て上げたのか。裕福な家庭に育ち、はたちそこそこで復員
し、横須賀で莫大な仕送りを受けながら妻と平和な暮らしを始めたのにもかかわ
らず、1年で破局。妻の行方が知れなくなってまもなく、連続殺人の最初の奇行
に及んだ理由は?。「生きるのに必死だったから」という理由のもと、国じゅう
が異常な興奮に包まれていた時代に、己の知識と、純粋に誠実な信念の下で生き
ようとしていた青年が陥った闇の中。果たして、彼がいまいるのが闇なのか、そ
れともこの世界が・・・。

ストーリーを転載しといてなんですが、今回はちと違います。いえいえ、話しとし
ては一緒なのかもしれませんが、私の受けた印象が全然違ったのです。前回は、明
らかに、世良と妻の二人の話しだったと思いました。んで、世良と時代との関係が
メインで、世良や、その妻や刑事さん達がボロボロになりながらも思い描いた「幸
福な未来」が、このインチキな平成かと思って、申し訳ないやら、恥ずかしいやら
で、小丸は泣けたのでした。そんなかんじのRを上げてます。確かに「時代を撃っ
て」いました。一貫したテーマである「ちゃらちゃらしてられっかよ」をストレー
トに出していました。

さて94年です。時代も確かに変わりました。ちゃらちゃらしてるやつぁ・・・ば
かです。もちろん、ホンキこいて腰振って踊ってるやつは立派です。でも、こーゆ
ー御時世ですもんね。けっこー、芝居の中心も、刑事さん達に移ってました。そし
て、世良が実に冷静でした。前回は、「なぜ世良が狂気に走ったのか」みたいなと
ころを感じたのですが、今回、世良は実にマトモです。一番感じたのは「戦中戦後
という狂気の時代に、みんなと一緒になって狂うことのできなかった青年の孤独」
です。彼はただ一人マトモだったのです。だからイライラし、行き場を失っていっ
たのです。「夢」に逃げるという現実逃避も、前向きな行動として描き、それがで
きない男の憤りを描きます。そして、それが理解できない刑事たちの苦悩も伝えて
きます。

ところで、前回よりもよりヘビーネ内翌ノなチbニ思うのですが、実際には楽にな
りました。前回って、あの二人が笑うシーンってあったんでしょうかねえ。知人は
「救い」があったと言ってましたが・・・。「時代」そのものではなく、「男と女」
とか「夢と現実」とか・・・時代が変わったせいでしょうかしら。

そういえば、朝日新聞の劇評に「世良を演じる檀に狂気が足りない」みたいなこと
が書いてありましたが、それって変じゃないのかしら。世良は狂ってない、を描い
ていたと私は思うのだが・・・(前回はかなり鬼気迫る芝居をしていた)。

ちなみに知人は、あの日のエンディングで流れたセリフが、オープニングでかかる
べきだったと申しております。わしは、両方で流れる方が好きだ。

今回の公演では、いつもの詳細なリーフレットがない。時代背景とか、登場人物の
紹介とか・・・。やっぱ、紀伊国屋は番外公演扱いなのかしらねえ。

見終わって「ガジラがどこへ行くのか、見届けます。」


闇の枕絵師−芥川竜之介・地獄変より (95.5)

(下の文章の文責:まねきねこさん)


5/21(日)2:00-4:00PM 曇 新宿・シアタートップス THEガジラ
 「闇の枕絵師−芥川竜之介・地獄変より」作・演出:鐘下辰男 満員(200)

 お話。享楽から質実の寛政時代。かつて美人画で世を馳せた絵師・良秀(千葉
 哲也)は隠遁中。しかし、彼が絵を描かないのはそれだけの訳ではない。娘・
 弥生(文月遊)を自分好みの「作品」とし、機が熟すのを待っているのだ。

 美.至上をうたいながら、娘の肉にとらわれる絵師の苦しみと喜び。イノセンス
 でありながら、女の萌芽が匂う娘。千葉と文月遊の絡まる会話と視線、◎。
 この二人を巡る周囲の愛憎(便利言葉)劇。力ある役者の抑え凄み演技で。
 「地獄変」のいっちゃってる狂気よか、曖昧な人いる、ガジラの舞台が好み。
 
 でも、役者達の絡まりがも一つ。くだん二人の求心力。食い足りないせい?。
 台詞、説明ぽいとこ、△。生々しさ欠けて、好みじゃない。寝るねこ。
 文月遊の全裸後ろ姿。おぉ。肩のはりと腰の曲線、○。胸ないのは、娘だから
 いいかっ。あのしっとり、かそけく声、なんど聞いてもいいなあ。(5/18-24)



汚れっちまった悲しみに (95.09)

(下の文章の文責:にしかど)


〇〇〇〇〇〇 汚れっちまった悲しみに… × THE・ガジラ 〇〇〇〇〇〇

● ともかくなんだか新展開。

(1,中原) じゃーん。俺が天才詩人、中原中也様だー!
(1,小林) こんにちは、小林秀雄です。中原君とは、腐れ縁で……。
(1,泰子) 長谷川泰子よ。人はわたしを魔性の女って呼ぶわ。
(1,一同) ……
(1,はな) なによ、これ。説明してよ。
(1,マル) 俺達、クビなの、クビじゃないの?
(1,亮 ) まあまあみなさん落ち着いて。
     どうもどうも。
     今回からは、劇中人物にも登場してもらうことにしました。
     ついでに私も登場しちゃいます。君達も好きにやってくれ。
(1,はな) はあ?
(1,マル) そんなムチャクチャな。
(1,亮 ) いいのいいの。
     んじゃ、さっそくいってみよう。小林君からどうぞ。

● 泥沼の三角関係、そこに働く力学は?

(1,小林) 評論家の小林です。私、難解な文章ばかり書いて小難しい人物と思
     われがちなのですが、これでも若い頃にはいろいろとあったのです。
     中でも忘れがたいのが中原君と泰子との泥沼の三角関係でして、今
     回の芝居は中原君の死を目前にした私が過去を回想する……
(1,中原) だいたいコイツはやることがわかんねえよな。泰子を俺から奪って
     おいて、そのくせ勝手に行き詰まって捨てちまいやがって。
(1,小林) 勝手にという言い方はないだろう。君が泰子にしつこくつきまとう
     から、すべてがおかしくなったんじゃないか。
(1,中原) つきまとうだあ? 友達の家を訪問して何が悪い。
     お前、俺が行かなきゃさみしくて仕方がないくせに。
(1,マル) ストーップ。あのさあ。
     オレ、第三者の目からはっきり言うと、あんたたち、おかしいよ。
     三人の狭い世界でグジグジしちゃって。
     だいたい、泰子さん、あんたちょっとけじめがなさすぎるんじゃな
     いかな。友達の仲をボロボロに引き裂くようなことをして。
(1,泰子) わたしは、自分の気持ちに素直に生きてるだけよ。
(1,マル) ああ、これだよ。こういう女が男を疲弊させるんだよねえ。
     こういう女に二人して精力つぎこんでも、時間のムダムダ。
     世間にいい女なんてゴマンといるんだからさ。
     君達もさ、ただ単に、友達の女を奪ったり奪われたりっていう罪悪
     感とかスリルとか嫉妬心とかで身を焦がしてマゾヒステッィックな
     快感にひたってただけなんじゃないの?
     文章書く人ってそいういうの多くてイヤなんだよね。
(1,亮 ) なんだよお前、なんかキャラクター変わってないか、いきなり。
(1,はな) マルくん言い過ぎ。(^_^;
(1,中原) 天才の、詩人の情熱がお前なんかにわかってたまるか。
(1,小林) 僕は泰子を純粋に愛していた。
(1,泰子) いやだわ、ふたりとも。
(1,はな) わたし思うんだけどさ、泰子さんってほんとは可哀想な人なんじゃ
     ないかな。中原さんは結局のところナルシストで、他人を愛したり
     できない人だったし、小林さんは中原さんへの同性愛の屈折した現
     れとして泰子さんを求めたわけでしょ。泰子さんは、いつも不安だ
     ったはずだと思うの。違うかしら。
(1,亮 ) はなちゃんさすが年の功、言うことがするどい。
     だてに修羅場をくぐってないねえ。
(1,はな) 年の功は余計。(-_-メ

● これって新劇?

(1,亮 ) でさ、芝居としてはどうなのかな、これ。
(1,泰子) 秀雄さんをやった千葉哲也さんがシブくて最高。名優よね。
     中也をやった五十嵐明さんも迫力あって良かったけど、
(1,中原) 泰子の文月遊も良かったんじゃない? 桃井かおりみたいで。
(1,小林) 僕の妹をやった菊池美紀さんって美人だと思います、はい。
(1,マル) 役者は上手いしいいよね。世界をきっちり作ってたと思う。
     この手の芝居としては、傑作といっていい出来じゃないかな。
     でもさ、こういう、新劇っぽいの、オレはなんかかったるいなあ。
     暗いしさ。疲れちった。
(1,中原) てめえ、何だと。
(1,小林) その、「暗い」っていうのやめてもらえませんか。
(1,はな) わたしはいいと思うな。世界にどっぷり漬かれる感じで。
     創り手の真摯な姿勢もすてきだと思うし。(^_^)
(1,マル) えー。そうかな。真摯なだけじゃねぇ。

● 天気予報 (^_^;

(1,亮 ) はいはい、ではまとめましょう。
     完成度の高い舞台で、役者も巧い。あとは、新劇的なタッチとか、
     重厚さのようなものを好むかどうかというところですか。
     そんでは、天気予報やらせてやるぞ、お前ら。ほれ、やれ。
(1,マル) けっ。曇り。
(1,はな) 晴れ。(^_^) (覚えてなさい。(-_-メ )
(1,一同) ではごきげんよう。

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【汚れっちまった悲しみに… −Nへの手紙−】 THE・ガジラ
 作・演出/鐘下辰男
 1995.8.30-9.3 六本木・俳優座劇場
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にしかど(nskd@enpe.net)