第11回ガーディアン・ガーデン演フェス&「えんげきのぺーじ」連動企画

稽古場レポート「ひげ太夫」編


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吉村やよひ(ひげ太夫)vs鈴木規純(マダム ゴールド デュオ)●

●出演者一言インタビュー●

●鈴木規純(レポーター)の感想●


第11回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル二週目は、ひげ太夫。座長の吉村さんを始めとする女優さんたち全員が、ひげを描いて立ち回るという、それだけを聞いても思わず笑ってしまう劇団です。そして吉村さんは自分の劇団に対し、明確なビジョンと高い志を持っている人。それだけに、どんな稽古をしているのか興味深いところです。 今回のレポーターは、前フェスティバル出場のマダム ゴールド デュオ、鈴木規純さんです。(事務局)

稽古場1演出が決まると、役者陣はいっせいに台本にメモ。ひとつの動きごとにこの光景が繰り広げられる。メモをとらないとみんな忘れてしまうんだそうだ
吉村さんの基本演出スタイル、というわけではなく、稽古中には吉村さんも大量のメモをとります。役者からの意見もたくさん飛びかう自由な雰囲気稽古場2
稽古場3マイムのシーンでは、役者ひとりひとりの型を入念にチェック。ひげ太夫が得意とする組み体操も危険がいっぱいなので、必然的に丁寧な稽古になる
レポーターの鈴木さん。一緒に活動している太田希望さんとともに稽古場へ来訪しました。鈴木さんは吉村さんと一度だけ面識があるんだそうです稽古場4


吉村やよひ(ひげ太夫)vs鈴木規純(マダム ゴールド デュオ)

■技はどんどん開発してます。

吉村:今、おいくつなんですか?対談1
鈴木:僕は30。
吉村:私は32ですね。あれ?違う違う31だ、今度3月で2になりますね。
鈴木:あ、歳上でしたっけ?
吉村:まぁそれはいいんですけどね、私、厄年なんですが、役者は厄払いには行ってはいけないらしいです。自分の役を払っちゃう、つまり無くなってしまうので、代理の誰かに行ってもらえ、ということらしいです。
鈴木:行ってもらったんですか?
吉村:いえいえ、まだ行ってもらってないです。そんなことより今日の稽古の感想を。すいません、どうしようもない稽古しちゃって…。
鈴木:そんなにピリピリしてないですね。意外とアットホームな感じで。
吉村:そうかもしれないですね、私は灰皿投げて怒ったりしないんですよ。演出が恐いからやんなきゃいけないっていうのは、私は嫌なんです。やりたくてやりたくて全員こう乗り出してきてっていう状況じゃないと。みんな楽しみながらも大真剣にやるっていうのがうちのモットーなんですよ。でもみんなも私もそうとう焦っているはずなんですけど、どうでしょう?
鈴木:ははは。
吉村:まぁ本が遅いのは毎回のことなんで…。うちは制作は早いんですけど本は遅いんです。でも書くことはほぼ決まったので、この後は一日7、8枚づつどんどん配って、どんどんその日にそれをこなしていくと、そういう感じですね。
鈴木:今日の「つぼみ」の稽古なんですが、あれが組体操なんですか?
吉村:あれも組体操の一種なんですかね?組体操&パントマイムかな?
鈴木:別にまた組体操っていうのはあるんですか?
吉村:そうですね、組体操は本当にこう肩にちゃんと乗っかったりするんです。
鈴木:本当にやっちゃうってこと?
吉村:はいはい、本当に。
鈴木:小学校の時みたいに?
吉村:そう、まさに小学校の時の。今日は天井が低くて出来なかったんですけど。
鈴木:大変ですね。
吉村:でも、技はどんどん開発してますよ。

■女性の役者が女装する

鈴木:ひげ太夫っていう名前は前から聞いてたんですよ。インパクトある名前だなって思って。
吉村:覚えやすいですか?
鈴木:男性劇団だと思ってたんですよ。
吉村:あ、本当ですか?そりゃまたしてやったりって感じですね。
鈴木:やっぱり、ひげつけるからひげ太夫っていうんですよね。
吉村:はい、そうです。あと太夫って、花魁とか女っぽいっていう意味もあるし、だから男っぽいものと女っぽいものを「ジャキーン」て合わせたような、矛盾しているものをくっつけてるみたいな意味もあるし、つまり「泥棒刑事」みたいな感じですかね。違いますかね?それと、太夫って浄瑠璃の三味線弾きの人とかの太夫さんとか、唄う人でも静太夫さんとかいますよね。うちにも長唄とかあって割と東洋っぽいんで、ああいう日本の伝統芸能の上等な人、太夫さんていう言葉が好きで、決して毒蝮三太夫とかに憧れているとか、そういう訳じゃないんですよ。まあ、ちょっとそれもあったんでね。
鈴木:ひげを生やしてるってことは役柄は男性のみなんですか?
吉村:いいえ、女性もあります。ひげ生えてない役もいっぱいあるし、私もひげを落として女装するんですよ。
鈴木:女装?
吉村:はい、女装もあります(笑)。べつに男性だけの話ではないという。きちんと、女性は女性で出てきます。はい。
鈴木:はっはっは。
吉村:普通に活劇ですよ。全員ひげで!ってことはないです。少年だったらひげは付けないし、ひげを付ける役割の人だったら付けるというだけのことですから、はい。

■私のユートピア

鈴木:冒険活劇なんですよね?
吉村:そうなんですよ。
鈴木:それで必ず戦うと。
吉村:そうなんです、絶対戦う。それで、必ず女性が強いんです。
鈴木:ははは。
吉村:男はちょっと情けなくて、女の人の方が武術に優れてたり、権力もあったりして…。
鈴木:なんか、男でいやな思いしたとか?
吉村:ははは。というかね、お芝居をやってても、本当に私は男性に負けてるとはまったく思ってないんですけど、「あー、女性の劇団なんだ」「えっ、女だけなのに意外に面白いじゃん」っていうのがあって、「あれっ?演劇界でも女性ってそんなに低いの?」という思いがすごくあったんですよ。それでよくよく見回してみると、女の人はやっぱり端役なんですよね。
鈴木:そうですか?
吉村:主人公が恋をする女性とか、屈強な二人がいてその人が取り合うとか、あるいは癒しの女神だったりとか。そういった役柄が多いし、なにか事件が起きたときに必ずワーワー叫んだりして、自分で問題解決しないのを男性が助けてあげるっていう。必ず男性が上っていう組み合わせになっているし、強い女性っていうのはすごいステレオタイプで、男の人が書いている作品の強い女性って、私から見るとすごく嫌なんですよ。なんかすごくそんなんじゃないっていうか、なんでしょう…、十把一絡げというか。でも結局は弱いところがあって、男が手を差しのべてあげて、チャンチャンみたいなのを感じて、すごく甘く見ている感じで嫌なんですね。それで、私は自分が女性なんで、女性だってことに誇りもあるんですが、でもそれだけで書いているのじゃなくて、男の人が女の人を常に下に見ちゃうところとか、ちょっと見栄を張ってみたりとか、「カーワイイじゃなーいのぉ」っていうぐらいの感じで書きたいんですよね。そういうカワイイ男性を自分がやってみたいんですよね。
鈴木:ふーん…、じゃあ女性の視点から見た男性と女性をやりたいから、全員女性なんですか?
吉村:そうです、そうです。それです!はぁーすっきりした。言いたいことが伝わって、鈴木さんナイス!なかなか男性でこれをわかってくれる人はいないんですよ。それなのに「僕も出さしてー」ってみんないうんですよ、安直に。私はせっかく自分のユートピアを作ったので、ここに男性が入るとまた同じことになってしまうのでね、
鈴木:あの…、結婚はみなさんされるんですか?
吉村:将来的にはするつもりです。みんなまだしてないです。
鈴木:家庭を持っても続ける気で?
吉村:続けますよ。もちろん。
鈴木:全員?
吉村:どうなんでしょう。私はそんな気持ちでいっぱいなんですけど。細川とか繁殖する気がないんで。できれば産まないとか言ってます。私が「子供はみんな同時期に産んでいくよ、その方が世話が楽だ」っていうと、すごい不満そうに「はい」って言ってるんで、できれば産みたくないみたい。
鈴木:ぜひそれぞれのお子さんをひげ太夫に入れていただいて…。
吉村:そうですよね。本当に蓄光テープとか貼ってぽーん投げて「はけといて!」みたいな。組体操で一番上に持って来ちゃうとサルティンバンコになっちゃうんで、危険ですね。でも、いつかは自分のコピー品を残していきたいです。

■中国文化大好き

鈴木:ホームページ凄いことになってますね。対談2

吉村:そうなんですよ。着々とホームページは他国語化していってるんです、なぜか。今は英語、フランス語、韓国語がありますね。近々中国語とインドネシア語が加わるとかいうことで、ほかに努力することあるだろうおまえらって感じですよね。そんなとこばっかり。
鈴木:外国の人は観に来たりするんですか?
吉村:しますね。日本語が堪能な人には結構わかるみたいで、顔のマイムでルパンに出てくる次元とかやるんですけど、そうすると韓国人の方が「次元、私も見たことある、知ってるよー良かったよー」とかいったりして。
鈴木:一番反応が良かった国ってどこですか?
吉村:そんなに来てはないですよ。毎回私の知り合いでアジアの方が2人くらい来るぐらいですね。今回はたぶんフランス人10人とか来ると思います。
鈴木:どういう関係の方ですか?
吉村:翻訳関係だと思いますけど、フランス人はH(エイチ)が発音できないじゃないですか。みんなたぶん「いげ太夫」になっちゃうんでしょうね。「いげ太夫、私観マース。ボンジュール」とか、たぶんくるんでしょうね。楽しみです。でも、やっぱ中国の方とか喜んでくれますね。
鈴木:そうですか。
吉村:中国文化大好きなんで、なんか話が中華っぽいんですよね。東洋っぽい。喜んでくれますよ。
鈴木:カンフーのこととかいわれません?
吉村:カンフーのことですか?
鈴木:えぇ、カンフーっていうか戦いでカンフー取り入れるんですよね。
吉村:あーそうですね。でもそんなに何々派のみたいのではなくて、私が作っちゃうんですよ、何々派の何々拳っていうのを。それでこういう風にやってくれって現場で作っていくので。
鈴木:どんな感じなんですか?
吉村:例えば「洗濯物拳!ジャブジャブジャブ」とかそういう、ジャブジャブギュウ?みたいなそういうの。そんなのに中国の人もつっこみようがないじゃないですか。勝手にやってろよって話ですね。
鈴木:そうですね。
吉村:あくまで寓話にこだわってるんで、すべてを造語にしていきたいんですね。私ワールドにしていきたいんです。出てくる技の名前とかも含めて。距離の単位が「一チョウモク、二チョウモク」だったり、薬草の名前が「カヤツリグルワ」とか「タマカズラソウ」とか。「あるんですか?」って聞かれるんですよ。台本にもきれいに絵とかタマカズラソウ何々科とか書いてあるんです、私が作ってるんですけど。そういうすべてにこだわりたいんです。そういうのも実際にあったかのごとくなんだけれども、私が創作しないと気が済まない。……「一チョウモク」、使おう、また。


出演者一言インタビュー

(氏名/今回の公演にむけてのひとことコメント)

細川量代 「瞬きを許さぬ感じで色んな出し物をお観せいたしまする。個人的にはフェロモン出していきます」
鍵原真澄 「ひげ太夫旗揚げからしてもこんなに大きい舞台に立つのは初めてで、ドキドキワクワクしてます。その気持ちをお客様にも伝えられるよう頑張ります」
神宮陽子 「体を壊さないよう頑張ります。それくらい素晴らしい技が出ます」
荒川より子 「目にも止まらぬ早業で投げる手裏剣ストライク。あなたの心にストライク」
渋谷幸枝 「非常に独特な世界で、たぶん他ではどこにもみあたりません。そして色々な手に汗握る場面に出くわすと思います。是非いらして下さい」
吉田みゆき 「明るく元気です。ぜひ観に来て下さい」
松浦琴音 「元気があれば何でも出来る、とある人が言っておりました。元気にがんばりますので、お客様も観て元気になって下さい」
西村麻衣 「はじめて観に来るお客様がたくさんいると思うのですが、一回観たら絶対もう一回観たくなるので、ぜひ一度来て下さい」
日野綾子 「ズンズンズンズン観に来て下さい。きっと楽しいはずです。そんな感じがします。よかったらよろしくお願いします」


レポーター鈴木規純の感想

荻窪にある稽古場にお邪魔しました。

稽古場はアットホーム。時どき笑いも起こり、とても家庭的な劇団である。んっそうか? よーく見ると役者は、無理な体勢で何か植物を表している。七色の効果音を操り、座長吉村さんの光になってと、さらにむずかしい演出を顔色を変えず、色々なパターンで見せてくれる役者は真剣そのもの、黒い物を白くしてしまうパワーがある。繊細にこだわりを持ちつつ、気合いの入った骨太女性集団である。

座長の吉村さんはとても気さくで美しい顔の持ち主である。そしてはっきりとしたビジョンとモラルをもって、この劇団を引っ張っている。吉村さんいわく男性作家が描く男性像女性像とは異なる、女性の視点から見た男性像女性像を女性のみで描きだす壮大な冒険活劇を見せてくれるそうです。なにが飛び出るのかわからない恐怖と期待 ひげ太夫。楽しみです。

                        マダム ゴールド デュオ 鈴木規純


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