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ご覧になった方は既にご存じの通り、今年の2次審査はいまだかつてない盛り上がりを見せました。ここ数年に比べるとずいぶんレベルの高い接戦だったのではないでしょうか。何はともあれ出場が決定した劇団の皆様、おめでとうございます。そして残念ながら予選落ちした劇団の皆様もお疲れさまでした。プレゼンは十分に楽しませていただきました。まずひとつひとつの劇団につい少しずつ触れておきたいと思います。 1.ベリイギャルド 「プレゼン用の作品が形になりませんでした、本当にすみません」という、ネタなのか本気なのか解らない謝罪で始まったプレゼン。ラストはわらわらと大量のエキストラが出てきて……という人海戦術。プロフィールを見る限りでは大人計画フォロワーの松尾キッズという感じではあるけれど、プレゼンを見る限りでは松尾な香りはなく、むしろ猫ニャー的デタラメさをちょっとマネしてみましたという印象もなきにしもあらず。最初の「ごめんなさい」で押し通せばある意味面白かったのかもしれないけれど、だんだん「いかにもな演技」になっていく過程がやや不自然だったような。 2.ひげ太夫 前に一度この劇団の公演は見たことがあるのだけど、劇団の特色や作風を10分にまとめてみせるプレゼンという意味では、もう、ほぼ完璧といっても良かった。女性のみの劇団で、ひげを顔に書いて男性を演じているのだけど。演技の手法としては惑星ピスタチオのパワーマイムを彷彿とさせる部分がある。効果音や特殊効果もすべて「波がざざーーーん」とか「霧のようなモノがもわもわもわもわ」とか、口と身振りで表現しちゃうやり方だ。設定としてはどこか東洋的かつ無国籍などこかの国で、不思議な蛇を懐に飼う気のいい男と、その蛇を狙う悪者……といった物語。10分間にぎゅうぎゅうにつめこんだストーリーとアクションとアクロバットなネタ……。ある意味、美しさとお耽美さとラブストーリーをまったく取り除いた宝塚(←男装の女優以外何が残るんだ)と、ピスタチオのパワーマイムと、リリパットアーミーの世界観と、げんこつ団の男気などをミックスして、大衆演芸の枠に閉じこめた……とかそんな印象の劇団。そう、彼女たちにはスフィアメックスのような妙にこじゃれたハコよりは、断然大衆演劇の劇場が似合うと思うのだが……。 3.ポツドール セミドキュメントをプレゼンで、というわけで、女優ひとりを男優3人でよってたかっていじめ抜き泣くまで追いつめるという内容。ポツドールの表現したいことの片鱗はたしかに見えるのだけど、「身体検査」を短い時間でちょっとだけやって見せたという程度で、プレゼンとして成功したとは言い難い。こんなもんじゃないでしょ?と、本公演を見ていた身としては思わずにはいられない。あの程度なら予想の範囲内どころか、どうにも物足りないのだ。演出家としてもう少し役者を追いつめる状況を三浦氏にはつくって欲しかった。 4.ヨーロッパ企画 「プチMONO」といった印象。生徒たちが組体操をやるときにどうしても余ってしまうひとりをどうしようか……と、教師たちが話しあってる、というそれだけの内容なんだけど、脚本が上手く見ていて飽きない会話劇になっている。人の良さそうな主宰の方が21歳と聞いて驚いた。今の時点であれだけできるなら、役者がもっと上手くなれば、数年後にはかなり面白い劇団になるんじゃないだろうか。 ぜひ本公演を見てみたい 。 5.町奴 描きたい世界観があるんだろうというのは伝わってくるのだけど、どうにも私にはこの手のアングラっぽいシュールな世界はピンとこないのだ。野外劇をやっている劇団のようなので、スフィアメックスの空間で見ること自体に無理があるのか? いや、こういうのが好きな人は好きだと思う。あとは大人数でやるとどこまで空間を埋められるのかというのも気になるところ。 6.フランケンシュタイナー ブレヒトをコラージュした内容。なんだかハイパーコラージュから今の作風にシフトする過渡期の山の手事情社の印象に近い(いやもちろん同じではないけれど)。演技・演出の手法としてはオリジナルなものを確立しようという意志は感じられる。でも、やや頭でっかちな感じもしないではない。インテリな人には楽しめるかもしれないけど、ブレヒトにあんまり興味のない私としては……ちょっとピンとこなかった。 7.毛皮族 私はこの劇団を旗揚げから見ていて結構好きだったりするのだけど、今回のプレゼンは成功したとは言い難い。つーか、正直いって失敗だったと思う。まだ主宰の江本さんは自分たちの劇団の良さがどこにあるのか自覚してないのかな? とも思ったり。まぁ段取りが悪かったりデタラメな感じがするのも確かに彼女たちらしいといえばらしいのだけど、舞台として最低限のものは見せて欲しかったと思う(愛ゆえの辛口です、ご容赦を)。個人的にはダンスや歌よりもあのわけのわからないせりふの数々が作り出す世界観が好きだったので、もっとせりふを聞かせて欲しかったなぁと思う。 8.a.C.m.e さきほどの毛皮族のプレゼンが相当にダメだったのと対称的に、こちらはかなり稽古して作り込んできた感じ。都会のイケてる女を目指す田舎のおさげの少女が繰り広げるバカロードムービー的な内容。個人的に好みというわけではないけれど、このレベルなら2時間あっても十分飽きずに見てられるんじゃないかなぁと思った。センスについては好みが別れるところだと思うが、プレゼンの完成度としては結構高かったんじゃないだろうか。 9.庭劇団ペニノ 白塗りに学生服とかマネキンに車椅子とか、いかにもアングラなにおいのする作風……かと思ったけど、どうも後半の壊れっぷりを見てるとギャグとしてのアングラっつー気もしてきた。つか、手足のない人を「かわいらしさというかチャーミングさを出したい」と言ったり、劇団名は「ペニスとタニノを足して2で割った」とか、主宰のタニノ氏はかなりの確信犯と見た。プレゼンを見ただけでは判断できかねるのだけど、こういう人たちは本公演を見ると「ものすごく面白い」か「怒りを覚えるほどつまらない」かのどちらかだと思う。 10.アニュータ レジュメを配って劇団の特徴について説明したり、今後描きたいテーマを箇条書きで並べたりという、ある意味とってもプレゼンらしいプレゼン。でも、芝居をするパートがあまりに少なかったせいで、10分中1分くらいしか意味を持たなかったような気が。もう少し劇団の本質的な部分をがつっと見せてくれないと判断しようがない。もしかして2時間芝居を見たら面白いのかもしれないけれど、この10分間で本公演を見に行こうという気にはちょっとならなかった。残念。 ……そういうわけで、個性的な劇団がそろい、ここ数年に比べてもかなりハイレベルな内容でした。これはきっと審査員の意見も別れるだろうなーと思いましたが、まさかこれだけきっぱり別れるとは思いませんでした。ヨーロッパ企画はきっと問題なく通過するだろうとは思いましたが、まさか満場一致でペニノが通過するとは思いませんでした。いや、2、3人が推して票が割れるだろうと思ったのですが、まさかあのプレゼンで全員が推すとは? 1次審査のビデオの内容が面白かったのかなぁと推察したりもするのですが。毛皮族とポツドールに関しては、本公演のレベルにくらべてプレゼンが少々お粗末だったので、正直もしかして審査の俎上に上らないかなぁと思ったりもしたけれど、最後まで残ってくれて良かったです。可能ならまた来年いいプレゼンをしてリベンジしてくれたらと思います。おそらくどの劇団が残っても、十分楽しませてくれるフェスになったのではないでしょうか。来年の公演が楽しみです。 |