審査および結果(前半)


[APE] [チェルフィッチュ] [こどもとあそぶ] [MCR]

■プレゼンを見終えての感想

  


司 会:それでは、これからガ―ディアン・ガ―デン演劇フェスティバルに出場する
    三団体を選ぶ議論の方にうつりたいと思います。よろしくお願いします。

司 会:劇団の皆様、審査員の皆様、お疲れ様でした。
    それでは、今から来年2月、3月に出場していただく三劇団を選びたいと思いますが、
    まず、公開審査、プレゼンテ―ションを見ていただいた審査員の皆様からそれぞれ
    感想を伺いたいと思います。
    今年初めて審査員を担当された堤さん、どうですか。

堤 : え―、こういうことを申し上げてもいいのかな。

司 会:いいですよ。何でもばんばん言ってくださって結構です。

堤 : 二週間前にあるシンポジウムをしたときに、ある有名なプロデュ―サ―の方が
    「今、ダンスがつまらない」っておっしゃっていて。今の日本のダンス界の
    インフラにかなり貢献された方がそうおっしゃってたんですが、僕は立場はちょっと
    逆なんですね。僕はどちらかというと、「今、演劇の方が危ないんじゃないか、
    なんとかした方がいいんじゃないか」と思っているんです。
    今回、去年より団体応募数が多かったんだけれども、「この人達はすごいぞ!」
    という団体があまり見受けられませんでした。皆さん、良かったんですけど、
    圧倒的な才能というものが見られなかったのが残念だなと思いました。

司 会:ありがとうございました。次はウニタさん、今回は10回目の審査になりますね。

ウニタ:はい。堤さんのおっしゃることもある程度はわかるんですけれども、逆に、10年程
    前に比べますといろんなタイプの芝居が出尽くしていて飽和状態にある中で、皆、
    それなりに新しい劇団の方々がどれだけ他と違ったことを出来るか、それなりに
    戦略を探るかということは難しいことではあるなという気はしています。
    なので、若干、私自身は昔に比べると甘いというか、優しい見方で観るように
    心掛けています。多分この後、選考する上でも優しさがこぼれ落ちるかもしれま
    せんが(会場笑)、その中でですね、今日は、もちろん戦略もあるんですが、
    その「結果」がどういい形で見せられたかというところに焦点をしぼっていきたい
    と思います。それはある程度、うまくいったところとうまくいかなかったところが
    あると思いますので、その辺りで議論していきたいと思っています。

司 会:ありがとうございました。続いて天野さん、今回初めてのご参加となりましたが
    いかがでしたか。

天 野:それぞれ、とても興味深く観させていただきました。以上。えっと、また言います。

司 会:はい、大丈夫です。坂手さん、いかがでしたか。

坂 手:何しろ、初めて参加させていただきまして、ガ―ディアン・ガ―デンも初めてで、
    実は、スフィアメックスに来るのも初めてで、初めてづくしでした。

司 会:はい。ありがとうございました。坂口さんは12回目の参加になりますね。

坂 口:自分ではほとんどそういう自覚はなく、実は毎回、僕はこれを楽しみにしている
    んですが、審査するのはおこがましいと思ってますし、される方もあんまり気持
    ちよくないだろうなあという思いはあります。でも皆さんがいろいろ考えてくだ
    さっているので、10分ということもありますがヘタな芝居を観に行くよりは充分
    楽しめるんです。今も全部楽しく観させていただきました。ありがとうございま
    した。

司 会:はい、ありがとうございます。では、一劇団ずつ、観た感想とか意見とか
    アドバイス等を述べていただきたいと思うのですが。

■APE


司 会:では、一番目の「APE」についてはどうですか。
    (少しの間の後)坂口さん、今目が合ってしまったので・・・。いかがですか。

坂 口:僕は単純に、表現の新鮮さはどうかなと思うけれども、心地よい若さを感じました。
    素直に頑張ってほしいと思います。とても評価しています。

司 会:はい。堤さんはどうご覧になりました?

堤 : 実はAPEの本公演を過去に二回観ていまして、他のイベントに参加している時とか、
    楠原くんが伊藤キムさんのカンパニ―とか、岩淵多喜子という振付家がいるんですけど、
    そこのカンパニ―に出ている時も見ているんですが、ちょっと力が入りすぎていたかな
    という気がしました。
    今さっき本人にも言ったんですけれども、動いてナンボでやりすぎている感じがして、
    お客さんの方が息が抜けないというか、お客さんの方が乗り出してイメ―ジして
    見られるような見せ方を工夫できるともっと良いかなと思いました。

司 会:天野さんとかはどうご覧になっていましたか?

天 野:サイレントのスラップスティック映画を見ているような感覚でございました。
    (審査員の)皆さんが言われたようなことは全部「ああ、そうだな」と思って
    聞いていましたが。・・・そんなところです、まず。ごめんなさい。

司 会:はい。ウニタさんどうですか?

ウニタ:そうですね。あの、表現としては、坂口さんとは逆で、新鮮な感じがしたんですが。
    わりとエンタ―テイメント的なものを嗜好されているということで、集団名にも反
    映されていると思うんですけれども。私自身の個人的な問題としてですね、エンタ
    ―テイメントなものがあまり自分にとってエンタ―テイメントではないということ
    があって、その分「ガツン」と刺激になるようなものがいまいち感じられなかった
    ですね。たとえば、あの、今日は会社の社員というか、サラリ―マンやOLみたい
    な格好でス―ツなどを着てやってたんですけども、ああいったダンス、過去にOL
    がダンスをするという形だと「ロ―ザス」などもあり、最近ですと「イデビアン・
    クル―」の井出くんが振り付けをした「ダンダン・ブエノ」というのもオフィスを
    舞台にしたものだったんですけれども、ああいうのを見ると、何かこう、ちょっと
    突き刺さる刺激というものはあるんですけれども、今日のはわりと退屈はしないな
    がらもスム―スに行き過ぎてしまって何か心に引っかかるものがなかったです。振
    り付けが弱いということではないと思うんですけれども、その辺、エンタ―テイメ
    ントを嗜好する部分で、微妙に自分の受け止め方が合わないのかなと思ったりしま
    した。

司 会:はい、ありがとうございます。じゃ、続いて、どんどんいきたいと思います。
    二番目の「チェルフィッチュ」は皆さん、どのようにご覧になっていましたか。
    坂手さん、どうですか。

坂 手:あ、でもまだAPEの話をしてなかった(苦笑)。

司 会:あ、どうぞどうぞ。すみません。

坂 手:APEはですね、僕は、まぁ音楽に合わせて踊るっていうのが、まずすごく違和感が
    あって、僕の感覚で言うと、なんか「合わせすぎ」なんですよね。で、音楽に合わ
    せてやることに意固地になってしまっていて、特に後半の会社員になってくると、
    あの、僕の感じから言うと、手が出たりするのがワンテンポ遅いんですよ。微妙に
    遅いんですよ。だから、その、音楽が流れている時にはたぶん音楽も流れているけ
    れども自分達のリズムもあるという風になっていないと、なんかあんまりそのダン
    スというものがいちいち見えてこないですね。難しいんですよね。なんか、主宰の
    方、モックンに似てる楠原くんが言ってましたけども、「無表情じゃなくて表情が
    あった方がいい」って言ってるんですけども、やっぱり「無表情でなくす」という
    ことで実は演劇的じゃなくなっていると僕は思うんですね。だから演劇っていうも
    のが、舞台の中で踊りと俳優がセリフをしゃべるものと区別をしていいのかはわか
    らないんですけれども、僕はどこか似たところというか共通点があって、セリフを
    しゃべるかしゃべらないかで分けてしまってはそれはちょっと記号的にしか考えて
    ないんじゃないかと思うところがあって、あの、ある意味その仮面的な表情をして
    いるときに、逆に、すごく具体的な細かい内面に伝わりあうというところに、僕は
    演劇の本質があるんじゃないかと思うんですね。それは、表情豊かに見えても全然
    違う表情が浮き出されているということが当然演劇の中ではあると思うんですね。
    今、皆さんがされていたのは一つのカリカチュアになっていて、それは意味で説明
    になっちゃうんですよね。そのへんがすごくもったいないなと思うんですね。
    だからその、演劇というか踊りもそうかもしれないんだけれども、意味で説明され
    ちゃうというのが一番、敵だと思うんですね。「あ、この意味なんだな」って、意
    味でお客さんが納得してると、他に見て欲しいところを見てくれなくなるんですよ。
    そういう隙がうまれちゃうんですね。ものすごく皆さん真面目にやっているのはわ
    かるし、ここは見せ所だって思ってるところがいっぱいあるのもわかるんだけれど
    も、音楽も言葉であり意味であり記号ですよね。それでやっぱり負けちゃうという
    のが、後半とくにそうなんですけれども、やはりその、よくわからないんですよね。
    要するにカップルが持っているピンク色の筒みたいなものが抽象なんですよね。
    つまり、あれが具体的な何か具象物であったら、もう少し何か生まれてくると思う。
    だから演劇的という意味が、ちょっと僕は皆混乱しているような気がすごくしたの
    が今回の特徴なんですけれども、今回っていうか初めてなんですけれども(苦笑)
    あの、そんな感じです。

■チェルフィッチュ

坂 手:で、チェルフィッチュですよね。チェルフィッチュでいいんですよね?

    僕はこれは非常に面白かったんですけれども。あの、やはり皆さんおっしゃるよう
    に、まあ最初、ビデオで見た時にはギャラリ―でやってるのを観て、あ、「これは
    この舞台でやるのは大変不利だな」と一瞬思ったんですけれども、やっぱりそれを
    逆手にとってたというのは明らかにありますし、まあそのへんが微妙に、微妙に考
    えられてて。やっぱりバランス感覚なんですよね。空間の中で体があって、あるリ
    ズムを隔てて、それがどう噛みあうか、10分の中で、そのピ―スの中でどういう風
    に組み立ててるかというのが相当合理的に考えられていて。やっぱりこれ「お客に
    わかってもわからなくてもいい」というのがいっぱい入ってるんですよ。情報量が
    すごく多いんですよ。片足ずっと上げている奴とか、一瞬、一本足立ちになるとか、
    ああいうのすごい面白いんですよね。気がつかない人は気がつかなくていいという
    のがいっぱいあって。で、店長が出てきて。やっぱりアイディアが面白いんですよ
    ね。「コンビニが貸し切り」ということ自体。ただまぁ、それはあんまり落っこち
    るには厳しいんですけれども。ただあの、役者の出入りとか、そういうリズムがとっ
    ても良くて、それは確かにリズム感があって、あと台本自体が面白いというのが、
    ネタが面白いというだけではなくて、お笑いではなくて、まああのそう言ったら怒
    るかもしれないんだけれども、「静かな演劇」なんて言われてるようなあのナチュ
    ラリズムに対する一つの方向性があると。もう一歩まだ先を行こうとしてるなと。
    で、リアルそうな装置はいらなくて、人間の感じ方が何かあればいいなと。で、僕
    の考えでは演劇というのは「役者がそこで何を感じているか」というのをお客さん
    は見ていて、役者が感じていることが本当なんですよね。だから実際、人を殺した
    り殴ったりというのは出来ないんだけれども、役者が感じてる何か、感受性という
    ものはたぶん本当のことで、それをお客さんも「ああ、そうだな」って共感するか
    らこそ、実は僕らがやっているライブというものが成立するわけで。そういう意味
    では「静かな演劇」でやっていたリアルなもの、「これが本当ですよ」とハイパ―
    な本物にどんどん近づいていこうとするものに対して、「いや、本当かどうかでは
    なくて、やっぱりこういうことってどうしてもあるからしょうがないんだ」ってい
    うものが出てくる種類の、まあ、「静かな演劇」に対して「くだらない演劇」って
    言ったら変なんだけれども、「人間ってこれぐらいくだらないんだよ」っていうこ
    とを見せてるところは非常に面白いなと思うんですよね。
    
    で、それをスタ―トラインにして何かこれからやっていくのかどうかということで
    はなくて、それ自体で結構強さを持ってるなという感じはすごくありました。はい。

司 会:はい、ありがとうございます。天野さん。どうご覧になりましたか。

天 野:ここまで言われるともう言うことがそんなに残ってないんですが(会場笑)
    まぁ野外公演で観てみたいですね(会場爆笑)

司 会:それは、何故ですか。

天 野:まぁ、普通にまぎれて、ということですけれども。するとどういう差異が生まれるか
    ということがすごくある。だから、「静かな演劇」とかどうとか、全然俺は知らない
    からあれだけども、あの、ま、そういうことです。また後ほど(会場笑)

司 会:いつ後ほどゆっくりお話していただけるかわかりませんが(笑)
    え―、ウニタさん、どうですか。

ウニタ:そうですね。あの、だいたいもう坂手さんがほとんどおっしゃってたんですけれど
    も、今日のこの審査会でいかに他の団体を出し抜くかということで考えると、その
    戦略的な部分でうまく出し抜けてるんじゃないかなというように思いました。

    まあ、あの戦略というのは質疑応答のときも出ましたけれども、言葉のこと、言葉
    の戦略、それから空間の使い方、空間戦略、それからあの、堤さんに指摘されてた
    ようなファッション戦略とか、それから、僕が今日出ていたどのダンスグル―プよ
    りもダンサブルに思ったという身体の戦略、こういったものがですね、この広い空
    間の片隅のほうで、こう、小さなところでですね、小さな戦略の竜巻を起こしてい
    たっていう、そういう感じがしまして非常に心に引っかかったものがありました。
    
    坂手さんもさっきおっしゃっていたように、90年代の「静かな演劇」の延長上に、
    まあそれを何か批評的に超えるような形で、一つの潮流としてですね、「ポスト静
    かな演劇」か何かわかりませんけれども、そういう意味では今日の「チェルフィッ
    チュ」と、あと、牛角のコマ―シャルに出ている「五反田団」ですとか、あと去年
    落っこちた「another-works」とか、そのへんが新しいム―ブメントを作っていく
    んじゃないかななんていう期待を感じた次第でございます。

司 会:はい、ありがとうございます。

■こどもとあそぶ

司 会:えっと、続いて「こどもとあそぶ」についてお話を伺っていきたいと思うんですが。
    坂口さん、どうですか、「こどもとあそぶ」は。ルノア―ルの絵画を使用していた
    ようですね。

坂 口:はい、あの、そうですね。ちょっとだけ残念だったのは、作者の面白がっている事
    柄が「そんなに面白いかなぁ」というその段階で、話をどんどん進めていってるか
    ら、・・・うん、俳優さんにもその時お話を聞いたんですけれども、やっぱりちょっと
    演じる上でも辛い部分があったかなぁと。もうちょっとそこらへんを検討していた
    だくと僕は面白くなるんじゃないかなぁという気がしました。

司 会:はい。堤さん、どうですか。こどもとあそぶ。

堤 : あの、オ―プニングでビデオがちょっと流れましたけれども、二人のお笑いオ―ディ
    ションを審査する側とネタを見せにきた芸人さんの作品が応募されてきたんですが、
    その時に片方ではとても一生懸命ネタをやっているけれども全然つまらない芸を見せ
    ている、片方はそれをうんざりしながら見ている、審査をしているっていう関係性の
    出ていた作品で、あんまりこうセリフのやりとりとかがリズミカルじゃなくてももの
    すごく間があるんですよね。で、その間が逆に演劇的に見えてきてそこが評価出来る
    かなと思って推したんですけれども、今回は実際拝見したのを見るとちょっとそうい
    う演劇的な展開が見えてこないというか、ルノア―ルの絵があって、それがいい悪い
    みたいな、本当は「いい」っていうコメントをしなければいけないのに悪いこと、悪
    い比喩しか出てこないというか、そのへんの言葉、比喩で表現していく言葉のセンス
    がちょっとふるってないというか、イケてない。そういうところで一つ一つ笑いをとっ
    ていかなければならない設定を自分で作っておられるんだろうけれども、そのセリフ
    一つ一つがうなずけない。共感出来ないっていうところがあって、正直、戯曲、台本
    の部分が弱いかなと思いました。

司 会:坂手さん、いかがですか。

坂 手:いや、素朴に「山本はっちゃけ」君のサインがここにあった時に、サインを見ている
    のが一人だけであと一人が目に入ってないんですよね。これはどう見てもおかしいわ
    けですよね。それを見るために「ひっくり返せ」と言ってひっくり返したわけですか
    ら。そういう何か理屈が通らないところが出てくる理由というものがやっぱり「時間がか
    かってない」っていうことで。モノを作るときにはホンが遅くなって人に迷惑をかけ
    る場合も含めてですが、いっぱい情報を集めるとかいっぱい資料を調べるとかいっぱ
    い稽古するとか、何かに時間がかかってないといけないんだけれども、だから(この
    今回のプレゼンテ―ションに)あんまり時間をかけてないだろうという印象になっちゃ
    うんですよね。するとやっぱり三人でやっている人達が、仲が良いのか悪いのか、あ
    るいは両方アリなのか、その三者三様の過ごし方、生き生きとしているのか、あるい
    はすごくお互いに冷めているのかはわからないけれども、そのチ―ムワ―クがね、パ
    チンと見えてこないんですね。やっぱりその、演劇とコントの違いでよく言われるの
    が、コントだとその三人の中の誰かがネタを仕込んでいて「やろうよ」っていうふう
    に「自分達はこうだよな」っていくのがどっちかというとコント的だと思うんですが、
    他に作者や演出家がいるときに、じゃあどういう風にシアトリカルにいくのかっていう
    ものがないと、やっぱり三人が生き生きしているものが見たいなっていう気持ちの方
    が勝ってしまうんですけどね。もっとシビアな狙いがあるのかもしれないけれども、
    なかなかそこまで10分間だと見られないというところがあるかもしれないですね。

司 会:はい。ありがとうございます。

■劇団MCR

司 会:続いて四番目の「劇団MCR」のお話を伺いたいと思うんですが。オ―ディションの話
    ですよね。え―と天野さん、どうご覧になりましたか。

天 野:「鳥の手のままでよろしければ」というそのセリフ一点で、とても僕は「買い」です。
    え―、あのつまりモノの力というものにそんなに負けていない、そこに異物がコミ
    カルにあるという具体的なアドリブ、全体がそんなに負けていないなと思いました。
    後半の着地の仕方のあたりに良くない破綻があったような気もしますが。全体とし
    て、とても好感を持ちました。

司 会:はい。ウニタさん、いかがですか。

ウニタ:あの、私も天野さんと同じ部分でウケたんですけれども、全体としてはわりと「普通
    に笑えるお芝居だな」ということで、表現されたもの自体の何か斬新な感じはしなか
    ったですね。まぁその、なんていうか普通なものを嫌う私に対するある種のメッセ―
    ジというものは感じたんですけれども、つまりそのオ―ディションに対する批評性み
    たいな事を、さっきの質疑応答でも言いましたけれども、できればそこをもっと明確
    に出してですね、審査員、私なり他の審査員を含めて選考会のあり方自体をおちょく
    るぐらいの挑発があっても良かったかなと思います。今日出たいくつかの笑える芝居
    の中では一番笑ったことは確かですね。
    
    あの・・・そうだな。ちょっと思い出したのは、以前、ガ―ディアン・ガ―デンの番外
    イベントで「絶対王様」がガ―ディアン・ガ―デンの選考会をパロディにした出し物
    をやって、結構面白かったんですね。皆、場内大爆笑。2ちゃんねるによると「審査
    員だけが青ざめていた」となっているんですが、審査員も確実に笑っていたと思うん
    ですけれども、そのぐらいのものを、まぁそれと同じことをやれというわけではない
    んですが、何か、そういうオ―ディションのあり方をドッキリさせるような、「メタ・
    オ―ディション」的なね、仕掛けをやってくれると僕の心なんかすぐガラッと動いちゃ
    うんですけれども。ちょっとそこまで到達しなかったのは残念だったかなとは思います。

司 会:はい。坂口さん、いかがですか。

坂 口:あの、言ってることにちょっと自信がないんですけれども、あのお芝居のスタイルだ
    と、俳優さんの力量と釣り合わないんじゃないのかなって。そういうことはいっぱい
    あると思うんですけれども、俳優さんが駄目だと言ってるんじゃなくて、俳優さんの
    力に合わせたスタイルの作り方というのをもう少し考えられるといいのかなぁという
    風に思いました。

司 会:はい。坂手さん、何か。ありますか。

坂 手:いや、あんまりないんですけど。あの、やっぱり、何て言うんでしょう。こういう笑
    わせる場合というのは「普通はこうだけどこうじゃないんだ」とか「相手がこう思っ
    てるけどこうズラすよ」とかズラしていくタイプ、そういうことになりますね。皮肉っ
    たりね。で、それほど今の時代というものが明確な一つのスタンダ―ドがあるわけじゃ
    ないんで、ただズラしていくだけだと「ズラしてくんですね」っていう感じになっちゃ
    うんですね。で、その場合には、そのことを通してものすごく強烈な個性が出てくる
    とか、ものすごくビックリするようなアイディアが出てくるとか、なんかそういう風
    なことにならないかなと。「鳥にとりにいく」という駄洒落で持たせるにはちょっと
    厳しいし、やっぱり鳥が存在感すごいですから。だったらもっと鳥を中心にしたネタ
    にした方がいいんじゃないかなという気がしました。
    
    あとやっぱり僕が良くないなと思うことは、鶏肉パラパラ落ちますよね。そのあとで
    他の劇団がやるじゃないですか。やっぱりね、乾いた紙で拭くっていう対処の仕方じゃ
    駄目ですよ。モップを言われて用意するようじゃ駄目ですよ。だから演劇をやるって
    いうことはお客さんを相手にすることだし、劇場の人と一緒にやらなきゃいけないんで、
    ましてやこういうコンテストであれば、他の劇団のことを考えなければいけないとい
    うことが当たり前ですから。その後に「もしも床の上で踊るような人がいるとしたら
    どうだろうか」とかね、そういう最低限のことをやっぱり考えなければいけないんじゃ
    ないかというふうに僕は思いますね。これは別に道徳的なことでもなくて、倫理的な
    ことでもなくて、その常識はないと。やはり僕らは「人にされたくないことは自分は
    しない」という最低限のことを思わなかったら、それは人間じゃねえからね、って思
    うんですけどね。

司 会:はい、ありがとうございました。厳しいご意見ありがとうございます。

(記録:山本 将也さん)

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