審査および結果(中盤)


[ジュース] [かわいい子] [初期型] [スペースノイド] [PORT+PORTAIL] [らくだ工務店]

■ジュース

司 会:続いて五番目の、兵庫から来てもらった「ジュース」を。
    個人的には昨年出てもらった「ヨーロッパ企画」のにおいを感じてしまったのですが、
    いかがでしょうか?
    ウニタさん、お願いします。

ウニタ:そうですね。「せりふの時代」などに応募されていたんですよね。そういう経歴も聞
    いていましたし、コントに対する職人的な感性が見られるかな、と期待をしていたの
    ですが・・・。ネタ的にはちょっと散漫なものになってしまったかと。その後、質疑
    応答で「予知」が得意ということで、「予知がされている」という仕掛けをされて持っ
    てきて。そこで勝負に出られるかと思ったんですが、さほどな展開をすることもなく
    収束してしまったので、本来持っている才能を今日の場でうまく出し切れていなかっ
    たんじゃないかな、という気がいたしました。

司 会:はい。ありがとうございます。では、坂手さん。何か、目が合ってしまったので。

坂 手:あっ。はい。わからないんですけど、ポッキーってプリッツにチョコをまぶしたもの
    じゃないと思うんです。 そこらへんでちょっとついていけなくなっちゃって。(一同笑)
    最初、ポッキーで引っ張るのに、しょっぱいのとしょっぱくないのの違いがあるだろ
    うと。でも、12人で並んでいることの不条理っていうのはあるわけですよね。本当に、
    12人でお見合いしているみたいになるんですよ。それは実に不気味です。
    黙ってる奴がいて、何でこいつ黙ってるんだろう?と思ったら演出家だったりとか。
    そういうドキュメンタリーとして見ている分には、何か、ある空気があるわけですよ
    ね。これが最後に何だかみんながすごい血のりで殺しあうとか、誰かが急にマシンガ
    ンでみんなを殺しちゃうとか、そういう全然関係ないことをしちゃうとかね。ずらし
    ていくための前段として用意されてることだとすると、妙な空気はあります。だてに
    大阪から12人で出てきてないぞっていうものは。何か空気は持っていると思うのね。
    でもそれって演劇っていう形の位置にするには、何だか演劇をやりたいっていう気持
    ちでもう一つ、みんながぶつかり合わないと出てこないんじゃないかなって思います。

司 会:はい。堤さん、どうですか?

堤  :個人的に申し上げると、「せりふの時代」という戯曲雑誌の編集をしていたときに、
    蓬莱さんが常連で投稿されてきて。入選作を掲載したりしたんですけれども。
    戯曲で台詞、ト書きを書いたものと、実際、立ち上げたときどう見えるかっていうこ
    との難しさを実感しました。言葉のイメージで、台詞の受け答えを文字で読んでいく
    と、確かに面白いねというか、この言葉に対してこの台詞がくるのか、というその切
    り返しの面白さっていうのはあると思うんですが。ポッキーの話題を取ってみても、
    どんどん展開はしているけれど、実際、舞台の上に乗ったときに果たしてどこまで楽
    しめるかっていうのは、また違うテクニックが必要になってくると思うんですよ。
    それは役者さんのテクニックであるとか、いろんな演出面のテクニックであったりとか。
    先程、質疑応答のときに、「何か仕掛けみたいなものを考えますか?」と聞いたの
    は、要するに公演を見に来たお客さんが、その公演をどう受け止めるか、どう期待し
    ているか。それを表現する場合は、その期待をどうはぐらかしたりとか、引っ張ってっ
    たりとか、やり方はあると思うんですが。そこがないと演劇、実際、生身の役者が表
    現したときにちょっとキツいかなと思っています。まぁ、そういったところですかね。
    頑張っていただきたいと思っています。

司 会:はい。ありがとうございます。どんどん行きたいと思います。
    続いて、6番目の「劇団かわいい子」について伺いたいと思いますが。天野さん。

天 野:(ジュースについて)まだコメントしていませんよね。いいですか?

司 会:あ、はい。どうぞどうぞ。

天 野:ネタが昂進として、ある意味、ちょっと中途半端。ただすごく並列的で。展開として
    ポッキーからヒットラーに行き渡るときのスライドの仕方、スライドのスピードって
    いうのがすごく並列的になってる。最後に女の子が一人、「キャハハハ」って行っ
    ちゃう場面、あそこはドキッとしますね。その辺りから本当に、坂手さんがチョロッ
    と言ったように何か変な感じにもっと持っていけたかもしれませんね、ということが
    言いたかったんでございます。

■劇団かわいい子

天 野:で、劇団かわいい子。きっちり作ってあるとは思いましたが・・・。
    シンクロさせていくという発想があって。さっき、途中で一回、部分シンクロが完全
    シンクロになって、もう一回、部分シンクロにしたかったけど、それができなかっ
    たって言ったと思いましたけど。シンクロの仕方がすごく同じなんですね。
    だから、全然違うものがシンクロした方が、やっぱりやり方としては面白いと。
    簡単な言葉、同音同義語、同音異義語で構成していってもよかったのではないでしょ
    うか。まず、こんなとこで。

司 会:はい。ありがとうございます。ウニタさん。

ウニタ:実は、質疑応答のときにある答えを言うかな?と思ったんですが。前回、ビデオ審査
    のときに送ってきてもらって、今日も最初にかかっていた踊りが、かなり少年王者舘
    的なダンスでありまして。で、今日拝見した出し物が、発想的に今話題になっている
    シベリア少女鉄道的なようにも見えまして。そういったものの影響を、割とすんなり
    と受けて出しているのか、ということを聞きたかったんですけど。そのことについて
    は聞けませんでした。で、逆に僕が期待したのは、むしろ開き直って、「ええ、影響
    受けてますよ。真似してますよ」って言って欲しかった。模倣の戦略みたいなものが
    確たる信念としてあるのならば、僕が今日、最初に言いましたけど、色んな方法論が
    出つくされた現代において、それはちょっと新しいやり方なのではないかと。
    そういう覚悟もあっての今日の表現だということが聞ければ、前向きに評価できたん
    ですけど。ちょっとそれが聞けなかったのが、自分にとってはやや印象をマイナスに
    してしまっているかな、という感じでございます。

司 会:はい。ありがとうございます。坂口さんはどうでしたか?

坂 口:ええとですね、作ってらっしゃる方々がああいうスタイルが好きだということで。
    そこがまだ、表現としての面白さにつながってないのかな、という。
    こう、どうしてもそれに辻褄を合わせていくっていうことが優先されてしまうような
    気がするんですよ。だからせっかく役者さんが演じてても、「合わせる方に合わせる
    方に」っていう風になっていくのは、ちょっと得策ではないのかな。そこら辺をどう
    考えているのかなと。

司 会:坂手さんはどうごらんになりました?

坂 手:そのシベリア少女鉄道を見てないので。見たくてしょうがないんですけど。
    噂に聞くところによると、いろんなパーツがバラバラにあるのが最後にまとまって、
    実はこうだったとわかるという風な形とは聞いたんですけども。まぁ、そういう風に
    はなってたんだけど。でも、それはパズルをやるということで、そのパズルをやると
    きに、パズルがうまくいったらそれで良かったじゃなくて、パズルを徹してしなけれ
    ば伝えられない何か、その時代の空気でもいいんです。自分の何か感触でもいいんだ
    けども、そういうものが見たい気がするんです。だから、やっぱり「けっこん」が
    「血の跡」と「結婚する」とダブるようなダジャレみたいなのが少なくて、同じ言葉
    を別の人が言ったりとかいうことで何となく微妙につないでいくっていうのが、
    「なるほど、いろいろやってるな」とは思うんだけど。いくらでも時間かけてやんな
    いと、これではまだって思うのね。せっかく自分たちの表現なのに、自分の感じ方と
    か、自分の普段から考えてることっていうのが出てるようには見えないですよね。
    何かやらされてる感じになっちゃってて非常にもったいない。僕ら人生短いですから、
    やっぱりやるからには、他の人が絶対にやってないこととか、何か新しいことをやり
    たいと。世界演劇史上初の試みが3つぐらいあるんだ、っていうぐらいで新作をやろう
    と、実は思ってたりするんですが。なかなか「どこがだ」って言われちゃうわけです
    けども。そういうようなのがね、欲しいんですよ。だから、アイデアとして、ネタと
    してそういう何かが重なっていって、「ああなるほどね」っていうことでは、もった
    いないんじゃないかと思うんですね。もう少し、自分たちの可能性を信じて欲しいな、
    何か別なことを見たいなっていう気がしました。

司 会:はい。ありがとうございます。続いて、「初期型」に行きたいと思います。
    堤さん、どうですか。何回かご覧になっていらっしゃいますよね。

堤 : えーと見てるんですが、その前にちょっと「かわいい子」について・・・。

司 会:あ、まだ言ってないことがあったら言ってください。

堤  :何がやりたいのかっていうのを見たいなと思うというか、そこが見えないと評価でき
    ないなと思っているんですね。それはダンスでも演劇でも、この人はこういうことが
    好きなんだとか、こういうことがやりたいんだとか。それはテクニックとかトレーニ
    ングされてないとかってことじゃなくて、とりあえずやっちゃう。やってみた。良かっ
    た、悪かった、いろいろあると思うんですが。この人はこういうところに興味関心を
    持っていて、そこに愛情を注いで何かを表現しようとしてるんだってところが見たい
    んですよ。そこをまず確認できないと、評価もできない。
    かわいい子に関しては、プロフィールを見ると、ちょっと天野さんの王者舘とか、
    ベターポーヅの西島さんのところに行って勉強されたりしていて。ちょっとスタイリッ
    シュな、いわゆる普通のオーソドックスなリアリズムな台詞劇じゃないものを指向し
    ている人なのかな、と思って期待して推したんです。で、そうじゃなかったので
    ちょっとあれ、と思ったんですが。私はそこを見たいなと思いました。


■初期型

堤  :で、「初期型」に関しては、これはもう何をやりたいかっていうか、一目瞭然という
    か。体を使って何ができるかっていうことをとりあえずやっちゃってる。それがダン
    ス的な筋肉を鍛えてとか、ストレッチしたりメソッドをトレーニングしたりとかって
    いう、いわゆるダンス的なムーブメントよりも、自分の体を使って何ができるかって
    いうものをしっかりとらえようとしている。で、それが見ている人に評価されようが
    されまいが「それをやりたい」っていうのが見えてると思うんですよ。それで僕は
    ちょっと気になって見ています。

司 会:はい。ありがとうございます。天野さんはどう思われました?

天 野:個を消していきたいって言われたのか、俺が誤解したのかわからないんですけども、
    最終的に肉体すら自然になくなって、音だけが残るとか、そういうような形を見てみ
    たいなと思いました。うまく意が伝えられなかったかもしれませんが。まぁそんなと
    こです。

司 会:はい。ウニタさんどうですか。

ウニタ:質疑応答のときにも言いましたけども、ダンスから外れていく倒錯性が非常に私には
    受け入れられる要素でして。まあ質疑応答でもいいましたけど、あれが一番いい出し
    物だっていう話もあるんですけれども、逆にあれだけで食べていってもいいんじゃな
    いかなっていうぐらいの気もしますんで、あそこだけにいろんな可能性を今後、見出
    していけるかなという気もしないでもありません。

司 会:はい。ありがとうございます。それでは続いて、スペースノイドについて。
    坂手さんどうぞ。

坂 手:あの、初期型について・・・。

司 会:はい、初期型。どうぞ。

坂 手:僕はですね、音を聞かせるとすると・・・これはものすごく一生懸命やってらっしゃ
    るのに申し訳ないんだけど、音がそんなに美しい音じゃないんですね。すごく失礼な
    ことになっちゃうんですけど。音を聞かせるという音楽性に行くのか、それとも、
    やはり踊りの中に音が位置づけられるのかっていうね。それを決めないと「音を外す
    シーン」が活きないって僕は思うのね。脇を隠してるポーズがとても面白かったりす
    るんだけど、そっちの面白さでいくのかなと思ったら音に戻るし。あの応酬するって
    いうのがね、やっぱり応酬のリアクションも面白いんですけど、それがあって、もっ
    とセクシャルなこと、関係的なことに行くんだったら、そのことと音がどう関係する
    のかとか、組み立てがいろいろ考えられるんですよ。
    ところが音が鳴るっていうことで、人間ポンプじゃないんだから音が鳴るぐらいでみ
    んな驚いちゃいけないわけで。珍しさじゃなくて何にいくのか、っていうね。もう少
    し欲を出していただきたいんだけどね。
    音が出なくて首をかしげるのがあるじゃないですか。あれがですね、最初のうちは
    「ああ」って思うんだけど、それが多いんですよね。これは本当に失敗したのか、
    あるいは意図的なのかよく分からない面もあるんですけど。多分何か決め事はいくつ
    かあるとは思うんですけど。そういうのがどうももったいないなと。そういう意味で
    は否定的には取らないでもらいたいんですけど、ただちょっと長く感じたんですね。
    その長さが、人の営みの空しさの長さみたいに感じられるような空気もあるんです。
    もう少し狙いを決めていかないといけないんじゃないかなという風に思いました。
    もったいないな。たたずまいがすごく良いんですよ、二人とも。


■スペースノイド

司 会:はい、ありがとうございます。では、スペースノイドを。坂口さん、どうですか。

坂 口:乱暴な表現はあると思うんですけれども、乱暴さが表現としての面白さにつながって
    いかないと、これはただの乱暴ということになるんで、あまり良いことではないと思
    いました。余計なことかもしれませんけれども、このパフォーマンスで一番評価を得
    たのは坂手さんだと思います。観客として、まあ後で関係はわかりましたけど、観客
    として正しい姿勢を見せてくれたっていう点では大変に。僭越ですけど評価しています。

司 会:坂手さん、どうでした。

坂 手:僕としては、この格好はユニクロで安物なんですけど、良い服を着てきたつもりなん
    です。結構ドロドロになってしまったので。さっきの鳥の話じゃないんですけど、
    やっぱりハプニングとかそういうことの種類で、素朴に言って、お客さんに血のりが
    飛んだときにどうするのかとか、そういう部分のレベルがまず一個ありますよね。
    
    あとは、さっきも言いましたけど、要は僕を知っているわけですよ。伊藤君は休憩の
    ときに、去年のベストワンは僕の「最後の一人までが限界である」だって言いにきて、
    そういう奴が僕を襲いにくるわけだから、すごく面白いといえば面白い体験はさせて
    もらったんだけれども、やっぱり甘えがあると思うわけね。天野さんや堤さんでは
    なくて僕に来るっていうのは、知ってるからっていうだけなんですよ。これはハプニ
    ングにならないんだな。逆にまた僕じゃなくて、辰吉君がいたときには、やっぱり殴
    られるから絶対来ないと思うのね。最初っから殴る。「俺は演劇の人間じゃない」と
    思ってるからね。奴は殴るだろうね。そこらへんが、「しょうがねえな」っていう
    僕の受け方も想像して、何か考えてるのかなと思って連れてこられて、さあどう来る
    かなと。そしたらやっぱり、頭の中が「裸にして紙おむつをはめる」ことにしかいっ
    てないわけよ。それはさっき言ったのと同じで意味ないんですよ。演劇じゃないんで
    すよ。僕が何を感じているかに興味があったら、共演できるんですよ。僕は僕である
    しかないから、逃げられない。演じてないから。客だから。で、僕は感じる。僕は今、
    生きてますから。そのことを感じてくれてるんなら、何か反応があるんなら、ルール
    違反っていうことじゃなくて、「しょうがねえや」って受けることもできるわけだね。
    ところが現実的には、頭の中にあることはハプニング性の狙いだけなんだな。僕がも
    しもこう来たらどうするかとか、そうなったときはどうするかとか、二段構え三段構
    えで考えてお客にウケなきゃいけないじゃない。その辺まで考えてないと、演劇とい
    うか、表現というものにはならないだろうね。
    ルールを破るとか、体制を壊すとかといったことが何かかっこいいことだと言えば、
    それは今やってることじゃないと思うな。というのは、みんな、わざわざ来たわけだ
    から。しかも、さっきも言ったように、10分の時間があって、同じ立場で同じ権利で
    同じように評価されることをしに来たんだから、その中でやることじゃないとは思い
    ますね。
    
    で、もう一つはね、主催者判断もあっていいと思うのね。こういうのはもう失格だと
    言ってもいいと思う。失格にするにも値しないっていうのが、「子供だ」っていうこ
    とになるのね。大人はしないですよ。大人は謝ります。謝り方がやっぱり違うと思い
    ますね。ちゃんと謝れるんなら別に構わないと思うんだけども、その辺はどこまで考
    えてるのか。
    
    実際問題として、もう一個言いますけど、審査員の他の人だったらどうなのか。
    僕じゃなくて、例えば女性の審査員がいて、その人にはしますか?しないでしょう?
    でも、僕とその女性の審査員は変わらないわけだ。客いじりでもなんでもなくて、
    一種の暴力なわけだね。やっぱりこういうことは絶対にいけないことなんですよ。
    天野さんも言ってましたけど、もう少し頭使わないとダメだと思う。面白いことをや
    ろうと思ってるのは良く分かるし、俺は楽しく見てた。ああ、みんな俺を見てるな、
    面白いなと思って見てたわけ。ただ、俺を見てた奴の中で迷いがあった。ちゃんと俺
    を見てる奴は三人ぐらい。視線がかすっていくわけ。それで、ああ、なるほどなと。
    でも決めたからやるのか。付き合っていかなきゃいけないのかと思ったんだけど、
    やっぱり疲れたよ。俺、今、台本書いてて運動不足だというのもあるんだけど。
    もう少し、「こうしたときにこうする」とか考えてやって、あとやっぱり「みんなが
    引かない」っていうことについては考えられないとね。まぁ大変もったいないと思い
    ますね。

司 会:はい。ありがとうございます。ウニタさん、どうですか?

ウニタ:まず、いろいろ問題を起こす前までの出方はものすごく面白いと思っています。今日
    の中で一番インパクトがあったかなと。実は、僕自身はかなり今日のパフォーマンス
    が好きで。その後、坂手さん、天野さん、それから坂口さんにも怒られていましたが、
    自分は非常に「やれやれ!」って立場で見てたので、自分が怒られてるみたいな感じ
    にしょぼんとしちゃったんですけど(一同笑)。やんちゃなことをやって、まぁ暴走
    しちゃって、しかられている姿っていうのが、僕的にはかわいいなと思いますし、
    そこにある種、「童貞スピリッツ」っていうのがあるんじゃないかと。こうやってし
    かられて、社会というものを教えられ成長してった場合に、スペースノイドは割と
    ちゃんとしたお笑い劇団になってしまうのかな、と思うとちょっと寂しくもあり。
    その辺でちょっと今、複雑な思いがあります。
    
    ただ、スペースノイドは「演出家協会賞」というものをもらい、流山児祥さんにかわ
    いがられているということで。流山児さんが「演劇は事件だ」みたいなことを言って
    いるという意味では、今日は事件は起こせたんじゃないかなと思いまして。その部分
    から僕はかろうじて、まあこれが事件というほどのものではないんですけど、心に
    引っかかったという意味ではそれなりに擁護していきたいなと思っております。

司 会:はい。ありがとうございます。

堤  :ええと・・・。

司 会:あ、どうぞどうぞ。

堤  :スペースノイドに関してはまだコメントしてないんですけれど、質疑応答で天野さん
    が「安全なところにいる」とおっしゃったのが私も同感で、リスクを背負ってないよ
    うに思うんですね。例えば、ハイレグジーサスなんかが出てきたときには、河原君は
    とてもバランス感覚の良い聡明な子で、お客さんが不快に陥る一歩手前で変える、と
    いうか、そこまで行かないっていう演出をきちんとしていた。もし、自分たちの公演
    で何か起こる場合にはしょうがないにしても、こういう一般のコンペとかショーケー
    スとかイベントみたいなもので、自分たちを見に来たんじゃないお客さんがクレーム
    をつけたりとか、通報して警察が来たりだとかしたときに、「ごめんなさい」してた
    んですよ、彼らは。何度も通報されてしまっても、翌日に本番があるときには同じ全
    裸ネタができないからネタを変えるとかっていうことが出来てたんです。
    スペースノイドに関してはそれは出来ないんじゃないかと思ったんです。リスク背負っ
    てないし、ごめんなさいできる覚悟がないんじゃないかと思いました。
    
    あと、それからもう一つ。昔、60年代ぐらいかな。アメリカでリピングシアター
    っていう集団があって、観客に参加してもらう形の「参加する演劇」っていうのを
    やってたんです。「何かいいたいことがあるお客さんはどうぞ出てきて言ってくださ
    い。やってください。受けてたちます」っていうパフォーマンスをしてたんですけど。
    最終的にはケンカになって劇団もどんどん終息していったんです。それぐらいの覚悟
    があってやってるんだろうな君たちは、と感じました。逆に言うと、もし本当に、
    怖いことを言うかもしれないけども、ああやってお客さんを煽っておいて殺されても、
    文句言えないんだよ、あなたたちは、と僕は思いました。


PORT+PORTAIL

司 会:はい。ありがとうございます。それでは続いて、PORT+PORTAILのお話をうかがい
    たいと思いますが。天野さん、いかがでした?

天 野:非常にスムーズな展開だと思ったんですけれども。途中のビデオプロジェクターで、
    良いとか悪いではなくて、リズムなり気配なり雰囲気なりが壊されていたと僕は感じ
    ました。それはもちろん意図かもしれませんけれども。俺個人の主義でしかないんで
    すけれども、あの流れにおいてビデオプロジェクターはいらないと思いました。
    他の劇団で色を使ってたところってありませんよね?
    
司 会:ありましたよ。
    
天 野:ありましたっけ。でも、ここのPORT+PORTAILの赤がとても残ってます。
    まず、こんなところで。

司 会:はい。ありがとうございます。坂口さん、いかがですか。

坂 口:林さんが持ってらっしゃるイメージの複雑さまで、表現としては届いてないような。
    もっと多彩なイメージが林さんの頭の中にあって、でも出てきたものはちょっと単調
    かなと。もっと色々なことができる人たちだなっていう風に僕は思いました。

司 会:はい。ありがとうございます。ウニタさん、どうご覧になりました?

ウニタ:もう今出たようなことだと思うんですけど。割とこじんまりとスムーズに行って
    しまったので、ちょっと心に引っかかる要素があまりなかったなという印象でしたね。

司 会:はい。堤さんは。

堤  :前のスペースノイドの印象があまりにも強くて・・・。(一同笑)
    一服の清涼剤のような気分で見てましたけど。でも確かにダンスパフォーマンスとし
    て見るとまだまだツメが甘いというか、どこかで見たようなシーンが展開されている
    かなっていう気がしないでもないです。ただそれは分かってらっしゃると思うんで、
    今後も期待したいと思います。

司 会:はい。ありがとうございます。坂手さん、どうぞ。

坂 手:衣装とか耳あてがちょっとかわいらしすぎるんじゃないかと。やりたいこととかの
    方向性に対して、かわいらしくしすぎてかえって損しているような気が僕はしたんです。
    あと、10分間の使い方で言うと、転換などがあまりない方が持っているものが出る
    んじゃないかなというのはすごく思います。

司 会:はい。ありがとうございます。


らくだ工務店

司 会:では、最後のらくだ工務店のお話をうかがいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
    天野さん、どうですか?

天 野:10分間の使い方として一番まとまっていたと思います。ひょっとしたらと思うんで
    すけど、あの「99円が一点」っていう台詞の回数で時間を調節していたのかなと思っ
    たんですけども。ひょっとして、10分00秒に持っていける芝居なのかなと。あの回数
    でね。(一同笑)と、感じました。

司 会:(笑いながら)はい。坂手さん、どうぞ。

坂 手:このフェスティバルは10分超えると失格とか、高校演劇みたいなことはあるんですか?

司 会:一応測ってますが、基本的にはどこもオーバーしてなかったです。
    ぶっちゃけて言いますと、そんなに厳密ではないです。

坂 手:いや、挨拶のほうが面白かったと言ったら怒られるかもしれないんですけど。挨拶の
    ときの個性が、もう少し本編で生かせたら・・・。だからもう少しじっくりやれば。
    ネタが当たり前のネタなんですよ。当たり前のネタを、当たり前ではなく見せようと
    してやっぱり当たり前に、っていうぐらいには時間を稼げば出来そうな気がするんで
    すが。もったいないなと思いました。

司 会:はい。ありがとうございました。他にございますか?

堤  :よろしいですか?

司 会:はい、どうぞ。

堤  :らくだに関してはライブで見るのは初めてなんですが、さっき言った「ポスト静かな
    演劇」、ポストが五反田団なのかチェルフィッチュなのか分かりませんが、そこまで
    はいかないまでも、静かな演劇の一群に位置づけられる劇団だなと思っています。

    たしかに、主義主張とか、「これだから俺たちは演劇をやってる」っていうのはよく
    分からないんですけど、共感は出来ると思ったんですね。ちょっとのデモンストレー
    ションではどこまでそれが理解出来るかわかんないんですけども。一生懸命、彼らか
    ら出てきたパーソナリティ、みんなそれぞれの受け答えの仕方を見ていると、とても
    良いアンサンブルだなと思いました。あのアンサンブル、あの関係性があるから舞台
    でも面白い。デリケートな間とか表情なども出てくるんだろうと。だから、劇団とし
    てとても良いなという印象を受けました。

司 会:はい。ありがとうございます。坂口さんは何か。

坂 口:僕は一回公演を見せてもらったんですけども、見た目にはちょっとささいかもしれ
    ないんですけど、彼らは確実に自分たちの表現をしたいという強い意志があると思う
    んですよ。でもそれが、あとで「個人が話したときが面白い」という風に出てきちゃ
    うのはまだ残念なところですが。僕の心にはとっても響きます。だからどうだってい
    う話ですかね・・・(一同笑)。この審査員の心を動かせばこれから評価が入るかも
    しれない。

司 会:はい。一応、10団体、お話をうかがってきたんですけれども。何か言い足りないと
    いうことがあればお話をうかがおうと思いますが・・・。よろしいですかね。
    
    じゃあここからいよいよ3劇団に絞り込んでいきたいと思います。

(記録:青木 理恵さん)

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