成金天使


■団体概要  代表者山田裕幸の個人ユニットで、作品毎に出演者を集め公演を行うスタイルをとっている。93年10月に少年イサム堂を解散して設立。以降、精力的な活動を続けていたが、一昨年は一時休止状態。98年9月に活動再開。現在は静岡の県立高校で数学を教えながら、東京での公演を行っている。

■プレゼンの見所  成金天使は固定メンバーをもたず、作品ごとに出演者を集め、活動しています。いつもこう説明しますと、「大変だね。」とか「芝居ごとに雰囲気違うんでしょ?」とかよく言われるんですが、そりゃそうです。一緒にやるメンバーが毎回違うわけですから。でも僕にとってみれば、集団を維持していくことより、よっぽど刺激的で、かつ作品をつくるという作業に必要な方法なんです。脚本があって、人が集まり、そして別れていく。彼らを繋げている唯一のものは、今この作品を上演するという共通意識のみ。さて、本日ご覧いただくのは、ある芝居のワンシーンを想定してつくったものです。ただ、その「ある芝居」については何も考えていません。全体があって部分があるのではなく、部分から全体を予感できるものをと思い、ホンを書きました。こういうのは、役者にとっては、非常にやりにくいものだと思います。でも、そこで生まれる緊張感がたまらなく面白いんです。


《プレゼンテーション》

椅子に座る女、彼女をモデルに床に座って絵を描く男。
ドーナツを買って入ってくる男、また一人ドーナツを買ってくる女。外の行列のことで言い争い。
絵を描いていた男、唐突に「服を脱いで下さい」、女「いいですよ」。とまどう周囲の人達。「今すぐ?」「今すぐです」→音楽in、暗転。
質問に答える代表の山田さん(中央)。
(写真撮影:GG事務局&にしかど/コメント:にしかど)


《質疑応答》

(山田:代表の山田さん)

うにた:山田さん、数学の先生ですよね?
山田:はい、講師です。
うにた:短い間にいい雰囲気を出していたと思う。
    人間の心理を透き通った形でみせた。
    数学的な思考というのは意識したのか?
山田:感情を露にすると照れるので、どう分散させるのかということは
   考える。伏線とかプロットとかは考える。
うにた:感情のやり取りに数式を当てはめたりとかは?(笑)
山田:それはない。
うにた:ビデオでは痴人の愛がモチーフだったが、マゾ的な部分がある
    のか。女性にいじめられるのが好きとか。(笑)
山田:特にはない。おこられるのは好きですが。(笑)
うにた:文学をモチーフにしているのか?好きな小説などは?
山田:たまに原作モノをやりたくなる。普段はオリジナルを。

武藤:今回のは過去の公演の一部なのか?
山田:いいえ。
武藤:人物関係はどうなっているのか?
山田:描き切れていない。
武藤:山田さんの頭の中でも?
山田:今回は、わからなさを役者と共有した。
武藤:関係性は重要視しないのか?
山田:それは大切。関係性の予感を大切にしたい。
   「あるんじゃないの?」というところをみせたい。

宮沢:僕はそこが面白かった。いろいろ想像するから。
??:何となくどこかで見たことがある、とは言われないか?
山田:言われない。意識もしていない。
宮沢:小説を原作にすると、役者が何かするのが恥ずかしくなる。
   僕もやりそうになるが、それは恥ずかしい。
   そういうことを感じながらやっているのか?
山田:それは僕もそう思う。
宮沢:自覚して表現するか、ついやってしまうかというのは差がある。
   恥ずかしいと思いつつ、やむにやまれずやってしまう、
   (成金天使には)そういう「ばか」の力を感じた。
うにた:僕もそれを感じた。劇団名については?
山田:何度か変えようと思った。
   最初劇団をはじめたとき、エンジェリック・アップスターズという
   イギリスのパンクバンドの名前から取ってつけた。
   でもその(名づけた)人はもうやめてしまったので、
   変えようかなと思ったこともある。
うにた:(劇団名が)芝居の雰囲気と違っていると思う。
    劇団名が理由でダメということであれば、変えるつもりはある?
山田:未練はないです。

《レポーター感想》

いわゆる「静かな演劇」的なモノといった印象。ただなんとなく雰囲気を匂わせるような感じで、明確な人間関係とかは示されてないんですね。その微妙な不安定さが評価の別れるところだとは思うんですが、私はいまいちピンと来ませんでした。不安定は不安定なりにもっと想像力を刺激するような内容だったら面白かったとですけど。はっきり表現しないというのが嫌いな訳じゃなくて、謎を残すやり方はむしろ結構好きなんですけど、どうせやるならもっと魅力的な不安定さを演出してほしいと思いました。
(文責:小雪さん)



微妙な感覚とか、ちょっとした雰囲気の面白さをうまく表現していると思います。ただ、この雰囲気で2時間保たせるのは大変じゃないかなーと考えちゃいました。このプレゼンで見せた部分に関しては、その微妙な心の動きが、ドラマとして成立しうるネタを持ってきていたとは思うのですが、実際、一本の芝居を作るとなるとどういった世界が生まれるのでしょうか?そのへんを不安に感じつつ、世界にもイヤミな部分がないので、気持ちはよかったです。
(文責:村田さん)



 これはどうしたって平田オリザを意識して見てしまう。女性のスットンキョウにして淡々としたしゃべり方とか、青年団を見てるんじゃないかと思ったもの。そういう意味で、私はこの劇団をGGフェスで選ぶ必要はないんじゃないかと思った。確かに、プレゼンはなかなかよくできていたんだけど。
 10分のプレゼンでは、そこで何かを完結させようとするよりも、部分だけを見せてその背後の広がりを想像させる方が得策だ、というのが、今回、成金天使とチャリカルキの当落を分けたんじゃないかと、個人的には思っている。
《評価》★★★
(文責:にしかど)

にしかど (nskd@enpe.net)