12月のおすすめ芝居(東京)
静岡の異色劇団・超歌劇団の新作「どらえも」は、主宰者うるけん一郎太から送られてきた台本をちらちらっとめくっているうちに面白くなって、つい全部読んでしまった。「どらえもん」と「聖龍伝説」をミックスさせたような話だが、けっして受け狙いのお笑いではなく、内容はシリアスだ。シリアスなのにそれでいて大バカ、いや、ただ単に大バカといったほうがいいのかもしれないが、とにかくわたし好みの内容であった。この台本が上演される情景を想像するだけで笑いがこみあげてくる。ゆえに私(東京在住)は迷わずこの貴重な芝居を静岡まで見に行くが、他の人には勧めていいのやらわるいのやら。上演時間はおそらく1時間に満たないだろう。そして内容はバカシリアス(=これは、バカなことを自覚なきまま、ひたすら真面目にやってるという意味の私が命名した造語。クソまじめというのとは違うぞ)。例えば東京から新幹線で往復すると6、7千円かかるであろう(ただし公演チケットは当日1000円)。わざわざ静岡までいって大バカな芝居を見るという行為自体がすでに大バカなわけだが、そこに反近代合理主義的な風流を見いだせるセンスを有する人には、一番にオススメしたい芝居だ。問い合わせは054-294-1012(うるけん)まで。[an error occurred while processing this directive]大人計画プロデュース・日本総合悲劇協会は、まあこれを見ないことには1996年も暮れないだろうってなもんで、他の選者も一押しするに違いない。ここの「演劇のページ」演劇賞がもし創設されるとすれば、今年の松尾スズキさんの作品が大賞の候補にあがることは間違いなかろうて、その意味でも、このページに集う者ならば、なにをおいても松尾さんの作・演出作品は見ておかずばなるまいよ。松尾作品は表面は大バカだが、本質的にはニーチェ思想だ。ということはニーチェを読まなくてもニーチェを体得できるお得な芝居であるということだ。さらに、役者の使い方が絶妙であるという点も重要だ。今回はプロデュース公演で、劇団外部の役者ばかりを使うわけだが、先日の「マシン日記」の成功を引くまでもなく、それはもう実に楽しみである。東京以外にお住まいの方も、旅費に大金を費やして見に来てもこれならまず損することはないだろう。ま、そうはいっても芝居はナマモノだから、責任は持ちませんがね。
わたしが★をつける基準というのは、上演場所の近辺に住んでいない者が、高い交通費と移動時間(時には宿泊費までも)費やしてでもそれを見に行くに値するかどうかというところにあるのだが、だから★★★★はどんなに遠方に住んでいても、これを見逃しては一生ものの後悔になりかねないというものというふうに考えていただければ結構である(責任はもたんけどね)。その意味ではイデビアン・クルーもまた、どんなに無理してでも見て欲しいダンスです。彼らは今が一番瑞々しい“旬”の時期だといえます。いつも言ってることですが、舞台作品というのはナマモノゆえに“旬”をおさえることこそが最重要ポイント。“旬”ゆえの瑞々しさ、輝き、ノリの良さ、緊張感、迸るアイデア・・・・、これらをふんだんに味わっていただきたい。イデビアンクルーは今まで狭い会場での公演が多かったが、今度はパークタワーホールというだだっぴろいスペース。今までは旨いながらも養殖場の魚の味だったが、今度は大海で釣りあげた魚の鮮度を味わえることになると思う。
さて、スリル&チャンスは必ずしも“旬”の劇団であるとは思わないが、しかしながら今回は、あの高橋かおり様が客演されるというので、これはちょっと無視しがたいものがある。三田村邦彦との不倫報道もあったが、私にはそんなことは関係ない(そういえばJR恵比寿駅にいまだに舞台劇「宮沢賢治」の大看板が設置されているのは可笑しいな)。高橋かおり様はなんといっても今が“旬”。「宮沢賢治」に続き、年に2度も高橋様を生で拝めるとは実に有り難いことだ。
恒例のガーディアンガーデンフェス公開二次審査は、今年の見どころは、ゲスト審査委員に安田雅弘氏に加えてケラ氏が就任したこと。そして、このページで人気の高い「猫ニャー」や「ハイレグ」らがオーディションに出場することだ。盛り上がるかどうかはフタをあけてみないとわかりませんが、まあ、おヒマなかたはいらしてください。お忙しい方は無理して見に行くほどのことはないと思います。
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《おまけ》
●グリマンデルと工事現場2号が解散するとか。なんと淋しいことよ。解散ライブ「トライアングル−1」は2月13日〜17日、下北沢駅前劇場にて。チケットは12月14日発売。
●少年王者舘久々の公演は、名作「御姉妹」の再演。下北沢スズナリ(1/22〜27)&名古屋七ツ寺スタジオ(2/04〜11)。ただし主宰者天野天街病気療養中につき、古参劇団員にして名古屋の某大学で「天野天街論」を講じているという学者バルボアが“徹底したテキスト読みに基ずいた分析的解釈”で演出するという。天野作品を天野以外の人間が演出する場合には、そのような客観的アプローチこそが最善の策ではあろう。そうなると従来の天野本人の直観的な演出がもたらす不思議な懐かしみみたいな雰囲気はかなり後退するかわりに、今まで見えにくかった重層的劇構造が明確に見えてくることになるかもしれない。ま、それはそれで、興味深いものがある。もうひとつ気にしておくべきことは、昔の役者がまったく出ず、若手だけの舞台となることだ。これは劇団の事情だからいたしかたなきことではあるが、昔からの王者舘ファンの私としてはちょっと複雑な気持ちではある。「御姉妹」は初演時(昭和の最後の夏だったから今から8年前)にタイニイアリスで2度見たが、無名時代の“たま”が役者として登場してきて、そのすさまじき怪優ぶりに度肝を抜かれたことがある。当時の少年王者舘はなんだかとてつもなく恐い妖怪の集まりのような印象があって小心者の私としては近づくのが憚られたほどだ。新生王者舘が、それだけの迫力を醸し出しうるか、そのへんが勝負の分かれ目であろう。
●来年3月、グローブ座で「春のフェスティヴァル」というフェスティヴァルが開催される。「1999太陽族」「珍しいキノコ舞踊団」「東京ギンガ堂」「Hアールカオス」「ojo」という、一見したところ無節操で訳のわからんラインアップである。私になじみのある団体がいくつか参加してるためか、「このフェスはうにたが係わっているのか?」とよく訊ねられるが、断じて否である。先日TBSのTACOSという深夜番組で小劇場特集があった際もそんなことをいわれたが、あれも私は無関係だ(あれはぴあの北野恒安氏の企画だ)。グローブ座のは最近ちらしを入手したので見てみたら、松岡和子さんが企画委員長で、企画委員は演劇ぶっくの坂口さん、プレイボートの鎌滝さん、そしてライターの沢美也子さんだった。なんだ、松岡さん以外は知り合いばかりじゃないか(松岡さんともこないだ維新派の楽屋で挨拶を交わしたけど)。松岡さんが各出演団体の作品を見ているとは到底思えないので、するとこれは企画委員の3人がセレクトしたのであろう。そこで先日、「参加する側にしてみりゃ小屋代がタダになりさえすれば理念もなにもいらんだろうが、セレクトする側はもう少しそれなりの美学があっていいのではないか」と坂口さんに苦言を呈したら、「まあ、いろいろあってさ」だって。まったくもう〜、いい加減やな〜。しかしながら、その無節操で非戦略的な混沌とした状況がもたらした結果として、いくつかの面白い現象が生じている。まず、キノコとojoのが並んでること。共にガーディアンガーデン演劇フェスで世に出た彼女たちだが、キノコの伊藤とojoの黒川はなんと高校の同級生。伊藤がダンス部で、黒川はフォークダンス部だった。またシードホールの「performix」以後、接点のなかったキノコとカオスの“呉越同舟”というのも面白い(NHK−BSで並んだことはあったけど)。カオスが「ロミジュリ」、キノコは「もうお陽様なんてでなくてもかまわない〜ジュリロミREMIX」と張り合う。チケットはどれも12月14日より発売とのこと。
●宮前真樹さまが、また芝居に出演される。3月シアターアプル、天狼プロダクション怪奇ロマンミュージカル「天狼星」、作・演出・作詞・作曲:中島梓……。芝居内容はちょっと私の好みのものではなさそうだが、しかし宮前様が出るのならしょうがない、見にゆかねばるまいよ。音楽監督は難波弘之、これはなかなかいいかも。音楽を聞いて宮前様を見る。それだけでヨシとしようじゃないか。チケットは12月14日より発売とのこと。
●11月に神奈川県民ホール前でやったアールゾイのコンサート見た人います?私は「ファウスト」(ムルナウ監督の「ファウスト」を建物の壁に上映しながらアールゾイが同時演奏する)のほうを見たんですが、音楽も映画も実によいものでした。プログレ好きのうにたとしては、アールゾイやユニベルゼロのCDはほとんどすべて持っているものの、実際に聴くのはごくたまにといった感じだったのですが、このイベントを見てアールゾイ大好きになりました。ただ、願わくばああいう野外ライブのは夏の夜にやってほしいですね、いやー、寒くのなんのって。
●朝の連ドラ「ふたりっこ」、かねてより岩崎ひろみのファンだった私は第一回目から欠かさず見てますが(しかもBSで朝7時30分から見てます)、なんでももれ聞いた話によると、南河内万歳一座の内藤敬裕さんが一瞬だけ出演していたシーンがあったとか?私は全然気付きませんでした。12/10頃には遊気舎の楠見薫が出演するとか?いろんな情報が錯綜していますねえ。面白い「ふたりっこ」情報がありましたら、伝言板に書いて下さい。ちなみに遊気舎の後藤ひろひとさんも「ふたりっこ」にはまっているそうな。